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# 関西電力

ヤバい金をもらっても「違法性なし」と関電幹部が居直れる理由

闇は深い…

あやまちの正当化

関西電力の八木誠会長ら経営幹部20人が、福井県高浜町の元助役から3億2000万円相当の金品を受け取っていたことが物議を醸している。

高浜町は関電の原子力発電所があり、どう見ても「裏金」の構図ではあるが、当人および会社は「違法性なし」との認識だ。税務当局から指摘を受け、所得税の修正申告をしていることを関電は明らかにした。

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「金品を断ると激昂されたので仕方なかった、丁重に返した」と、あくまで一旦ポケットに入れたことを正当化する関電。これだけの大企業にもかかわらず、コンプライアンスも何もあったものではない。

おそらく税務署では、「金品を返した」では通じなかったのだろう。だから所得税が追って課税されたわけで、もし「返した」で済むのなら、そもそも所得にならないし、贈収賄という概念はこの世に存在しなくなる。

 

税務上の疑惑といえば、1998年に発覚した大蔵省官僚接待スキャンダルが思い起こされる。この当時、役所には「贈答品等報告返却制度」があった。これは、贈答品等について受け取りを拒否できないような場合や知らない間に本人自宅に届けられた場合、役所に報告すれば役所のほうから丁寧に返却される制度だ。

大蔵省スキャンダルでは、返却制度による報告をしなかった人は幹部を含め、かなりの数の官僚が省内処分を受けている。最終的には、大蔵大臣、大蔵省事務次官、大蔵省銀行局担当審議官、証券局長などが辞任し、多数の逮捕者も出た異例の事態だった。

ちなみにこの報告制度は、大蔵省スキャンダルの反省から'99年に制定された国家公務員倫理法6条(贈与等の報告)に引き継がれている。

関電の話に戻ろう。同社は大阪市も大株主であるなど、公的な側面が強いインフラ企業だ。こうした企業で、明文化された報告制度がないとは考えにくい。社内調査は行われているが、どのようなガバナンスが働いているのか、処分はどうなったのか不透明だ。

大蔵省の件では、省内調査だけでなく検察のメスが入った。そのなかで、特に悪質なものを検察は賄賂とみたようだ。もっとも賄賂罪は、公務員にだけ適用される身分犯であり、関電幹部はみなし公務員にもなっていないので、賄賂罪の適用はできない。

 

ただし、会社法では、株式会社の取締役等の職務に対して、不正な請託を受けている場合には贈収賄罪を規定している(967条)。また、関電幹部が利益を得て会社に損害を与えれば、特別背任の可能性もある。

今回は税務署の調査から発覚したが、検察も情報を共有しているはずだ。しかしながら、件の高浜町の元助役は今年3月に死去しており、真相解明は困難を極めるだろう。また関電側は、関電幹部が金品を受け取ったのが'11年から'18年としており、特別賄賂罪の時効は5年、特別背任罪は7年というハードルもある。

大阪市の松井一郎市長は「事実ならばとんでもない。すべてオープンにしてもらわなければ納得できない」と述べ、株主代表訴訟の提起も辞さない姿勢だ。

単なる贈収賄だけでなく、コンプライアンスや適切な情報開示のあり方についてまで、議論は広がりそうだ。

『週刊現代』2019年10月12・19日号より

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