子どものトラウマは、人生が狂うほど根深いことをご存知か?

踏み出すためには、自ら向き合うこと
からだとこころ編集部 プロフィール

安定しないアタッチメントが成長後に問題を生じさせる例として、恋愛のつまづきが挙げられます。

トラウマを負った人にとって、恋愛は安定した関係を結べると心の傷から回復する大きな力になります。しかし、特定の相手の存在は、アタッチメントのパターンが出やすくなります。

思春期以降の不安定なアタッチメントのタイプ
幼少期〈回避型〉→
思春期以降〈拒否型〉
だれかを頼る、だれかから頼られることを好まない。他者への不信感が強く、攻撃的な「怒りー拒否タイプ」と、感情を見せず、親密になろうとしない「引っ込み型」に細分される
幼少期〈アンビヴァレント型〉→
思春期以降〈とらわれ型〉
相手に過度の親密性を求める。相手が自分と同じようには望んでいないと、過度に不安になる
幼少期〈無秩序・無方向型〉→
思春期以降〈恐れ型〉
親しくなりたいと思いつつ、傷つけられるのではないかと不安がある。相手を心の底から信頼したり、頼ったりしにくい

幼少期のアタッチメントのタイプと関連すると言われるが、必ずしも一致するというわけではない。

(『トラウマのことがわかる本』より)

【写真】恋愛に過度の恐れを抱くタイプに?
幼少期に虐待を受けた経験のある人は、傷つけられることを恐れる〈恐れ型〉が見られることが多いという photo by egttyimages

幼少期のトラウマが青年期によみがえる!

恋愛で現れる不安定なアタッチメントの影響以外にも、人生の課題に直面する年齢になると、幼少期に負ったトラウマが現れがちです。

子ども時代のトラウマは、原因となる体験を特別なことだと思っていなかったり、記憶そのものが抜け落ちたりすることもあります。思春期以降、大人になって初めて、自分の生きづらさと幼少期に負ったトラウマの存在がつながることも少なくないのです。

思春期以降、トラウマの影響が表面化しやすい例には、つぎのようなものがあります。

幼少期のトラウマがよみがえってくる例
同じ気持ちがよみがえる
状況は違っても、そのときと同じ不安や混乱、恐怖などの感情がよみがえってくる
妊娠や出産での不安やためらい
自分が親になることへの不安やためらいが、とくに親子関係の問題でトラウマを抱えている場合に、強くなる
我が子に同じことをしてしまう
自分がトラウマを負ったころと同じ年齢の我が子に、自分が親にされたことを繰り返してしまう
「その日」「その時間」がやってくる
トラウマ体験にあったのと同じ日付や同じ時間帯になると、フラッシュバックなどが出る

(『トラウマのことがわかる本』より

【写真】我が子にも同じことを…
我が子にも同じことをしてしまう photo by gettyimages

このように、幼少期の傷は、長い間を経て、出現することが多いのです。また、大人の子どもに対する接し方が、その子どもの人生に大きく影響を与えることがわかります。

これをお読みになられている方の中にも、同じようなトラウマを抱えている方がいらっしゃるかもしれません。トラウマに気付くことで、症状が現れたり、強まるのは苦しいことです。ただ、このことで自分の生きづらさがトラウマの影響によるものだと気が付くきっかけにもなります。

 

トラウマの回復には、「治すのは自分」という意識が欠かせませんが、そのためにはいずれ、どこかで、トラウマと向き合う必要が出てきます。周囲の身近な人の支えや、専門家の支援を借りながら、回復への一歩を踏み出していただきたいと思います。

今回は、『トラウマのことがわかる本』を参考に、発達期におけるトラウマの問題についてご紹介しました。この本ではトラウマの正体から、トラウマによる症状、医療機関などへの相談の仕方、心や体の整え方まで、詳しく解説しています。

トラウマのことがわかる本
生きづらさを軽くするためにできること

【書影】トラウマのことがわかる本

トラウマの最新の専門的治療法や多様な取り組み方を紹介。生きづらさを抱える人たちには、回復のための第一歩を踏み出すきっかけに、また、ご家族やご友人、専門職の方には支援の手助けになる1冊です。

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