武蔵小杉「タワマン被災」でわかった「災害に強い」マンションの条件

水、電気、スゴい施設はここまでやる
山岡 淳一郎

タワーマンションの受変電施設にも、装置の備蓄は有効だろうか。丸橋さんは言う。

「超高層マンションの多くは、受変電施設も特別仕様のキュービクルといわれる箱体にいろんな設備とともに入っていると推察されます。その時々の新技術を使っており、移り変わりも激しい。部品の欠品も考えられます。素人には手の出ない複雑さでしょう。だから復旧に時間がかかるのです。

とはいえ、事前に管理組合が電気室について専門家のレクチャーを受け、いざというときに備えておくのは無駄ではありません。災害をわがことととらえれば、想像力はわいてきますよ」

 

井戸を備えたマンション

それではもう一つのテーマ「水の喪失」にどう対処すればいいのだろうか。

武蔵小杉のタワーマンションでは、停電で水道水をポンプで送れなくなり、下水の不備でトイレも使えなくなった。住民は、電気が復旧しないかぎり、下手をすると長期間の仮住まいを強いられそうだ。

ルミエール西京極は、桂川の氾濫で3日から1週間、関西電力の停電が続くとみている。停電で断水も起きる。さらに水道の復旧には約1カ月かかると予想している。

そこで、より早く、水を確保するために、何と「井戸」を掘り、日常的に使いながら災害に備えているのだ。山に囲まれた京都盆地は、地下が巨大な水甕のような地質構造で、琵琶湖の水量に匹敵する良質な水が蓄えられている。その自然の恵みの活用術だ。

井戸の深さは15メートル、水質検査をパスし、飲料に適している。各フロアには水栓が設けられ、ふだん住民は誰でも井戸水を利用できる。いざ、大災害で断水を余儀なくされたら、どう対応するのか。井戸水を汲むには電動のポンプを稼働させなくてはならない。