武蔵小杉「タワマン被災」でわかった「災害に強い」マンションの条件

水、電気、スゴい施設はここまでやる
山岡 淳一郎

停電への準備がスゴい

近年、台風の針路は正確に予測できるようになった。たとえば台風襲来の2日前には土のうや止水板を用意し、24時間前にはセットする場所を決め、12時間前に住民が手分けして設置する。並行して地下駐車場の車はすべて地上に出す。襲来の直前に対策の確認をし、台風通過後、建物の損傷をチェック。そのような台風マニュアルを作成しているマンションが、「ごく少数だけれどもある」と須藤氏は述べる。

 

もっとも、濁流が腰高程度の止水板や土のうをこえて地下の電気室に入ってしまえば電力を失う。武蔵小杉のケースでは自家発電も働かなった。ルミエール西京極は、どのように備えているのか。ルミエール西京極管理組合法人理事で、施設の改修をリードしてきた丸橋次生さんは、根本方針をこう語る。

「大雨で桂川の堤が切れたら、ここは地上3メートルの高さまで洪水が押し寄せると想定されています。マンションの受変電施設は、別棟の1階にあり、それを高所に移すのは不可能です。泥水かぶったら受変電施設が機能しなくなる。

問題は、その後、いかに早く、立ち直るか、です。桂川が氾濫すれば関西電力の送配電は3日~1週間は止まるでしょう。その間は電気なしでがまんして暮らす。そして、関電の停電が解消され、高圧の電気がくるようになったら、速やかに受変電施設で受けてマンション内に送れるようにする。そのための装置、部品を在庫しておく対策を立てています」

通常、電力会社から6600Vの高圧で送られてきた電気は、マンションの受変電施設の配電盤で受け、変圧器(トランス)で105Vまたは210Vの低圧に変え、分電盤を経由して共用部、専有部に送られる。ルミエール西京極では、配電盤の在庫も検討したが、350万円以上かかるとあって断念した。

その代わり、やや専門的になるが、変圧器の次の二次側の配電ブレーカ―といわれる装置を数十個単位で備蓄。水害で壊れる配電ブレーカ―と交換し、通電したらすばやく、マンション内に電気を送れる対策が立てられている。電気復旧の鍵は、受変電施設の装置や部品の備蓄が握っている。