武蔵小杉「タワマン被災」でわかった「災害に強い」マンションの条件

水、電気、スゴい施設はここまでやる
山岡 淳一郎

「台風マニュアル」は絶対に必要

武蔵小杉のケースと、京都の桂川の浸水想定区域に立つルミエール西京極(1983年竣工・7階建て・183戸)というマンションの備えを比較し、いま、管理組合に何が求められているか浮き彫りにしてみたい。災害時、いくら管理会社が奮闘しようが、維持管理の主体は管理組合である。災害への備えは管理組合主導でなくては機能しないのだ。

ルミエール西京極は、管理組合を法人化し、管理規約の第一条の活動目的に「本マンションに生活するすべての者(障がい者や高齢者、介助者、子どもやその親など)が、災害を含むあらゆる状況において無事(生命と安心)に暮らせる環境にする」ことを掲げる。その「生きのびる」ための方策は拙著に詳述した。ルミエール西京極は「電気と水の喪失」への現実的対策も講じている。武蔵小杉のケースと比べつつ、ご紹介しておきたい。

〔PHOTO〕iStock
 

では「電気の喪失」から考えてみよう。武蔵小杉のタワーマンションは、地下施設への浸水防御が働かなかった。止水板や土のうで水の侵入を止められなかったようだ。流れ込んだ濁流で配電盤が壊れ、電気を失っている。

一級建築士で、多くのマンション管理組合の顧問をしている須藤桂一氏は、「地下に電気室やポンプ室、駐車場があるのはタワーマンションに限った話ではない。一般のマンションでもあちこちにあります」と指摘し、台風マニュアルの必要性を訴える。

「首都圏のマンションは、災害といえば地震を想定しがちで、水害対策は遅れています。基本的にマンション購入の段階で、地下に電気やポンプの設備、機械式駐車場などがある物件は避けたほうがいい。危険さを買うようなもの。

一方、地下設備があるマンションは、台風へのマニュアルを早く作るべきです。管理会社の社員に自分のマンションの施設、設備を案内、説明してもらい、どこに何があるかを知るところから対策づくりは始まります」