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ドイツ人はなぜ、今さら「中国の脅威」を警戒し始めたのか

日本人にはわからない「厄介な関係性」

なぜ、今、突然

パソコンで何となく第2テレビ(国営放送)の番組表を見ていたら、10月4日はその日だけで中国関連の番組が5つもあったのでビックリした。

1. 中国の西への行軍(Chinas Marsch nach Western)
2. トランプ対中国(Trump gegen China)
3. 龍の権力-中国のグローバルな軍事作戦(Die Macht des Drachen - Chinas globale Militärstrategie)
4. 赤い諜報活動-中国と産業スパイ(Rote Spitzel - China und Industriespionage)
5. 監視される国民-中国の社会信用システム(Das überwachte Volk - Chinas sozialkredit System)

どれもオンデマンドで見られるので覗いてみたが、すべてドイツやEUに警告を促す内容ばかり。しかも、最初の3つは、同日の深夜に再放送されるという念の入れようだった。

 

なぜ、今、突然、中国なのか?

きっかけは明瞭。10月1日の国慶節の軍事パレードである。一党独裁で、巷に2億台もの監視カメラを据えている国が、あれだけ派手に軍事力を誇示すれば、警戒してくださいと言っているようなものだ。

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ただ、軍拡にしろ、経済的な覇権拡張にしろ、別に今始まった話ではない。その証拠が、一帯一路、あるいは新シルクロードとよばれる遠大な構想だが、それを実現するための金融支援として、AIIB(アジアインフラ投資銀行)が設立されたのは2013年のことだ。

あの時、ドイツ政府は何と言っていたか? 「新シルクロード政策は着実に進んでいる。AIIBは1000億ドルを用意しているので、投資の資金は十分にある」として、もっと多くの国が参加するように呼びかけていたのだ。現在、大国のうち、AIIBに参加していないのは、米国と日本ぐらいではないか。

また、一帯一路と並行するように、2012年4月、中国は東欧やバルカンの国々と「16+1」という会を結成した。初回の総会はワルシャワだったが、その後も毎年開かれ、今年4月はクロアチアのドゥブロヴニクで8回目を数えた。

これだって、ドイツでは政治家もメディアも知っていたはずだが、誰も何もしなかった。そうこうするうちに、今年からギリシャも加わり、「16+1」は「17+1」に進化した。

17国を挙げると、ハンガリー、ポーランド、チェコ、ルーマニア、ブルガリア、スロベニア、クロアチア、スロバキア、リトアニア、ラトビア、エストニア、ギリシャ、セルビア、アルバニア、北マケドニア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、モンテネグロだ。

最初の12ヵ国はEU国。本部は北京。地図でこの17ヵ国塗りつぶすと、EUの東に見事に厚い壁ができる。これを見ると、中国がここまで迫ってきたかと、ヨーロッパ人でなくても怖くなる。

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