じわじわくるタイトル
(一次選考を終えた一同は、小休憩をはさんで歓談)
ヨネ:優秀賞決定の前に、皆さんにお寄せいただいた1008タイトルの中から、最終選考には残らなかったけれど、個人的にじわじわきた作品を紹介させてください。まずは……『彼等が愛したマジックテープ』。
ハジメ:は? マジックテープ……?
ヨネ:いろいろな人間模様や努力が想像できませんか? どんどん行きます。続いては、『令和二年の熱中症』。東京五輪が終わったタイミングでどうでしょう。
そのほか気になったのは、『スリ師の生涯』『家庭科教師はホスト狂い』『新書のタイトルを誰がこんな風に仕立て上げるのか?』
ハジメ:う~む、君のツボがわからない……。
ヨネ:そして、『パン屋で働いてる女の子のポニーテールは何故かわいいのか』。
ハジメ:う、それは! すごくワカル!
ニッシー:たしかに、それは知りたい!(笑)
ハジメ:恐るべしポニーテール。今から最終選考の20タイトルに追加しようかな……。
ヨネ:最後にご紹介するのは、ベストセラー『未来の年表』へのオマージュ企画のような、『過去の年表』。……ただ、年表が過去のものって「普通やん!」
(一同爆笑)
ハジメ:それは面白い。一瞬考えこんでしまった。
ジュン:現代新書らしいし、選考に残しといてもいいんじゃない?
ハジメ:それは「ヨネ賞」でいいんじゃないかな(笑)。
ヨネ:改めまして、投稿してくださった皆様、ありがとうございました。
(小休憩終了)
ハジメ:さて、それでは、優秀賞を決めていきます。当初は優秀賞を1タイトルに決めるつもりでしたが、1000タイトル以上の応募という皆さんの熱意に押されて、優秀賞7作、最優秀賞3作の計10作を選びましょう。
マサ:そんなにも! 編集長、太っ腹です。
ハジメ:各優秀賞に選ばれた7名には1冊ずつ、最優秀賞に選ばれた3名には3冊ずつ、絶版を除くお好きな現代新書をお贈りします。
ヨネ:それでは、発表していきましょう!
正史に対する対抗の歴史
ハジメ:まず、私が優秀賞に選んだのは、こちらのタイトルと内容紹介です。
『アラブが見た十字軍』もだいぶ古びたし、十字軍時代のイスラーム側の新しい本がほしい
ヨネ:編集長賞は、@palmofcordobaさんです! ひとこと、選考理由をどうぞ。
ハジメ:攻めるキリスト教の側から見れば「聖地奪還」という大義名分があっても、攻められるイスラーム側から見れば、それは侵略・略奪行為に等しいです。この「逆側の視点から歴史を眺める」というコンセプトに強く惹かれました。紛争が相次ぐ現代社会でも有効な視点でしょう。「反」という言葉の響きもいいですよね。
私が担当だったら、豊浦志朗(船戸与一)さんの名著『叛アメリカ史』のような、「正史に対する対抗の歴史」として著者にお願いしたいと思います。
保元の乱ではたった300名
ヨネ:ありがとうございます。続きまして、ニッシーさんの優秀賞をどうぞ。
古墳時代から平安時代にかけてのわが国における軍事力のあり方、軍制の変遷を考古学などの視点も踏まえながら解き明かしていく。
ニッシ―:私が選んだのは、こちらですね。中世以降の戦や兵法については、
ヨネ:王道の日本史賞。@shinshigeru1952さん、おめでとうございます!
ニッシー:保元の乱で平清盛が動かした兵は、