「サンタフェ」で時代を作った宮沢りえ

「BODY」の部屋に入る。そこにひときわ存在感を放つのが、宮沢りえさんの『Santa Fe』の写真だ。91年当時、読売新聞の1面広告に出た、りえさんの神々しいヌードを忘れられない人も多くいるのではないだろうか。

「サンタフェは91年ですよね。その前から大人気だったわけですが、この後表現者として素晴らしい切り口になりましたよね。ただ、このときヌード写真が撮れるなんて思わなかったんですよ。ぼくが映画の『豪姫』のロケ地に行って、りえママに『りえちゃんも18歳なんだからヌード撮らないかな?』って言ったら、『じゃあ連休明けかな』とか言われたんですから」

写真集『アイドル』に収録された宮沢りえさんの写真。初出「FLASH」(光文社)1990年7月12・24日号 撮影/篠山紀信

アイドルをやめた山口百恵さん、アイドルであり続ける松田聖子さん、いまでは舞台や映画を中心に表現者として活躍する宮沢りえさん。引退した百恵さんは無理としても、聖子さんとりえさんがずっと活躍し続け、そして篠山さんはその2人をずっと撮り続けている。

「50年もよくやってますねってよく聞かれるんですよ。ただ、ぼくから言えば、時代時代が生んだ『人、こと、もの』に向かって、果敢に寄っていって、一番いい場所で一番いいタイミングでシャッターを押した、それが写真そのもので、写真の力が出てくるものです。ただ、それにはすごいエネルギーがいるわけですよ。時代を並走できる間は、ぼくは写真を撮っていくし、並走できなくなったら撮れないというのが『写真力』に関する大まかな考えと方針なんですよね。

もうひとつ面白いのは、突出したものというのはそれが面白いと思っても、自分がそこに写真機を持って行くのは難しいということ。メディアが、これを篠山にとらせたらおもしろいなというところから、じゃあ行きますよとなるわけでしょう。自分の興味だけだったらこんな風に時代を撮り続けるなんてありえない。時代に好奇心を持っているカメラマンでありながら、『こいつにこれをとらせたら面白い』と思われないといけない。そいう人でいることが写真力なんですよ」

最後に、「最近のアイドル」について聞いてみた。

「ぼくはAKB48がわーっと出た時、K組がなくてAとBで『AKB Jump&Cry』という写真集を作ったんです。このときは神セブンの子たちが『来年AKBなんてあるの?』なんて言っていましたよね。そこで線引きがありましたね」

そう言いながら、こう続ける。

「りえちゃんは野田(秀樹)さんとの舞台がとにかくすごいでしょう。野田さんといえば、今の舞台『Q』の広瀬すずさんもすごいですよ。あと、この間あいみょんも撮りましたよ」

『写真力』に展示されている広瀬すずさんの写真(2017年)撮影/篠山紀信

篠山紀信の「写真力」は50年で終わっていない。

篠山紀信 写真力 THE PEOPLE by KISHIN The Last Show
10月27日まで 東京ドームシティ Gallery Amoにて
https://www.tokyo-dome.co.jp/aamo/event/shinoyamakishin.html
GOD、STAR、SPECTACLE、BODY、ACCIDENTSの部屋に分かれた写真たち。スターやアイドルだけではない。「ACCIDENTS」は、東日本大震災で被災した人々を撮影した写真が飾られている。奇しくも台風19号で大規模な被害が生じ、その復旧がいち早く望まれる今、当時の方々の表情からも私たちにできることはなにかを思わず考えてしまう。
超写真論 篠山紀信 写真力の秘密
『写真力』の企画プロデュースを行った後藤繁雄さんが、2012年熊本現代美術館からすべての会場に足を運び、篠山さんの話を何度も聞いてまとめた一冊。篠山紀信論でもあり、写真論でもあり、時代の物語でもある。

取材・文/FRaUWeb編集長 新町真弓