VTuberが教えます! 世界一わかりやすい「超伝導」講座

あなたの「推し超伝導体」を見つけよう
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それは磁石と反発する性質です。磁石とくっつく性質は聞いたことあるかもしれませんが(鉄とかがそうですね)、反発する性質は珍しいですね。

超伝導体は磁石のN極を近づけてもS極を近づけても反発します。この性質は発見者のヴァルター・マイスナーさんにちなんで「マイスナー効果」と名前が付けられています。

 

磁石と反発することで空中浮遊を実現できますので、超伝導体を自動車の下に設置して、道路に磁石を置くと、空飛ぶ自動車のできあがりです。

マイスナー効果による磁気浮上。下にある黒い円柱が超伝導体、上の銀色の円柱はネオジム磁石
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超伝導は、珍しい現象……ではない!

こんなに何でもできるのになんで身の回りにないの? 超伝導体って珍しいの? って思ってるあなた。超伝導は珍しい現象なんかじゃありません。

超伝導になる物質、超伝導体は実は非常にたくさんあって、その数はなんと数万種類です。身近な例でいうと、一円玉の材料・アルミニウムや、鉄、リチウムなんかも超伝導体です。

元素単体で超伝導になるものを示した周期表(圧力をかけて超伝導になるものも含む)。色と棒の高さは超伝導転移温度を示す。
「全元素の超伝導化」(http://www.hpr.stec.es.osaka-u.ac.jp/e-super/)より引用
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そんなにたくさんあるのになぜ普及しないのか。それは超伝導が(今のところ)冷やさないと現れない現象だからです。

突然ですが、低温研究の世界では絶対零度を基準にした絶対温度(ケルビンで表記します)で温度を表します。普段使ってる摂氏温度から273.15を引くと絶対温度と対応します。氷点下0度が273.15ケルビンです。

ほとんどの超伝導体は10ケルビン(約マイナス263度)以下まで冷やさないと超伝導の性質を示しません。先ほどの例でいうと、アルミニウムは1ケルビン(マイナス272度以下)でようやく超伝導の性質を示します。5年前までの超伝導を示す温度の世界最高記録はマイナス109度でした。めちゃくちゃ低温ですね。

最近ではマイナス10度で超伝導を示す物質が発見されています。マイナス10度ならちょっと冷やせばいいだけだからこれから普及が進みそうですね。

でもちょっと待ってください。このマイナス10度の超伝導、残念ながら200万気圧の圧力をかけた状態でないと超伝導にならないんです。200万気圧というのは1円玉1枚にお相撲さんが約400人のってるくらいの力がかかった状態です。想像するだけでも大変そうですね。

超伝導転移温度の最高記録の歴史。超伝導グループによって色分けしてます。
東大物性研橘高俊一郎助教のもの(https://sakaki.issp.u-tokyo.ac.jp/user/kittaka/contents/others/tc-history.html)を改変
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残念ながら今のところ、室温、1気圧で超伝導になる物質というのは見つかっていません。

ただし、実現が不可能ってわけでもないんです。この室温超伝導をしめす物質を、無限に存在する元素の組み合わせから発見するっていうのが、超伝導を研究する研究者の大きな目標の一つになっています。

実は現在でもあちこちで使われています

このように、今のところはどの物質でも冷やさないと超伝導にならないんですが、超伝導の性質は他の物では代えがたい魅力がいっぱいなので、液体窒素(マイナス197度まで冷やせる)や液体ヘリウム(マイナス269度まで冷やせる)を使って超伝導体を冷やしながら実用される例も増えてきています。