神戸・教員いじめ問題「大人によるいじめ」の過酷な法的リスクを問う

「いじめ」と「いじり」は違う
菊地 智史 プロフィール

逮捕・勾留の可能性も

まず、いじめによる加害行為に対し刑事上の責任を負わされるリスクがある。いじめの加害者による行為が刑法に触れることになれば、加害者は逮捕・勾留により身体を拘束され、最悪の場合は懲役に服することになる可能性がある。

たかがいじめくらいで大げさだ、とは思わないで頂きたい。今回の事件においてなされた行為を、刑事上の責任という観点から見てみよう。

 

メールの送信の強要は、暴行や「送信しないとぶん殴るぞ」というような脅迫を伴ったのであれば強要罪に当たり、被害者の車の上に乗る行為はこれによって自動車が破損すれば器物損壊罪に当たる。コピー用紙の芯でお尻を殴った行為については、報道によるとミミズ腫れになったそうであるから、人の体に傷害を与えたといえ、立派な傷害罪である。足を踏みつける行為は、傷が残らなかったのであれば暴行罪である。

激辛カレーを無理矢理食べさせる行為や目に激辛ラーメンの汁を塗る行為も、刺激物である香辛料を用いた物理的な力の行使であるから暴行罪に当たりうるし、これにより胃痛や目の痛みといった身体的な悪影響を発生させれば傷害罪に当たりうると考える。熱湯の入ったやかんを顔に当てる行為も同様だろう。過去には、被害者の耳元でブラスバンド用の大太鼓や鉦を連打し騒音を立てた行為につき暴行罪を成立させた判例もある。騒音よりも直接的かつ物理的な力の行使を伴う激辛カレーややかんを用いた行為が暴行罪、傷害罪となる可能性は高い。

社会的なダメージに

そして、強要罪の法定刑は、3年以下の懲役である。器物損壊罪は、3年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料。暴行罪は2年以下の懲役など、傷害罪は15年以下の懲役などが、法定刑として定められている。

どうだろうか。報道されている東須磨小学校いじめ事件における加害者の行為はことごとく刑法上の犯罪に当たり、処罰される可能性があるのである。

今回の事件の加害者にすれば、後輩に対する「いじり」としてちょっとした罰ゲームを与えているような軽い気持ちだったのかもしれない。しかし、それらの行為は立派な犯罪であり、刑罰を課される可能性が高いものであることを認識して欲しい。

初犯なら実刑にはなりづらいと甘く考えることは、リスク回避の観点からおすすめしない。逮捕され勾留がつき最長で23日間留置所に入れられるだけでも社会的なダメージは大きいし、行為が悪質なら執行猶予がつかない可能性もある。

このような刑事責任追及のリスクを取ってまで、いじめを行いたいと思うだろうか。