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# 日本郵政 # NHK

「NHKはまるで暴力団」を撤回しない元総務次官の「見識」

許認可官庁はそんなにえらいのか

不正販売した側が被害者然

「NHKはまるで暴力団」と言い放っていた日本郵政の鈴木康雄・上級副社長が10月15日に国会に呼ばれ、「真意」をただされた。鈴木氏は「反社会的勢力が行うことと同様ではないかという意味で言った」と開き直り、ついぞ発言を撤回しなかった。

かんぽ生命保険の不正販売問題を取材していたNHKに対して日本郵政が抗議を繰り返し、続編の放送を見送らせていたとされる問題で、鈴木氏は抗議を行っていた当事者。

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鈴木氏が国会で答弁したところによると、NHKの公式ツイッターで公開された動画が、具体的な事実の指摘がないまま「かんぽは詐欺だ」などとしていたため、取り下げを要請したところ、NHK側が「取材を受けてくれるなら動画を外してもいい」と言ってきた、という。

この取材を受けるなら動画を外すという言い方が、暴力団と同じだ、というのである。2018年夏のことだ。その後、かんぽ生命の不正販売の実態が明らかになり大きな社会問題になっているのは周知の通りだ。

10月3日の記者団の取材に対して鈴木氏は、「殴っておいて、これ以上殴ってほしくないならやめたるわ。俺の言うことを聞けって。バカじゃねぇの」と痛罵していた。

 

どうみても適切とは言えない発言だが、問題はそこに留まらない。鈴木氏は日本郵政の副社長に収まっているが、もともとは総務省の官僚で、旧郵政省の放送政策課長や総務省の情報通信政策局長などを経て、2009年から2010年まで総務事務次官を務めた。総務省の大物OBの抗議に、NHKは震えあがり、経営委員会が上田良一会長を厳重注意する事態に至ったと考えるのが常識だろう。言うまでもなく総務省は放送局に免許を与えている所管官庁である。

国会での質問に鈴木氏は、役所を辞めて8年以上になり、行政に影響を与えることはあり得ない、と述べていた。だが、国が大株主である日本郵政の副社長というポストを当てがわれたのも、総務次官OBだからであり、広い意味での総務省の人事の一環だ。決して鈴木氏の経営能力が買われたわけではない。いまだに総務省の現役官僚たちに大きな影響力を持っているというのが実態だろう。

鈴木氏は2018年10月にNHKの経営委員会に、ガバナンス体制の検証を求める書面を送付。前述の通りNHK経営委員長の石原進・JR九州相談役が、上田会長を厳重注意とした。結局、上田会長は「番組幹部の説明を遺憾」とする事実上の謝罪文を日本郵政側に届けた。会長名の書簡を届けたのは専務理事・放送総局長と編成局部長だったという。放送の現場責任者が、日本郵政の抗議に屈したわけだ。

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