消えた栄光のドラフト1位「ただの人」になった金の卵たちの告白

グラウンドを去る人、もがき続ける人
週刊現代 プロフィール

生き残る術がなかった

広島は、若手に多くのチャンスを与えて育てるチームと言われている。それは、裏を返せば一定のチャンスを与えられても目立つ成績を残せなければ、次の世代にポジションを譲らなければいけないということでもある。

スーパールーキーとして入団した岩本も、その例外ではなかった。緒方孝市監督が就任した'15年からは一軍での出場機会が激減、今季は1試合の出場に止まり、そのまま戦力外通告を受けた。

「彼には、間違いなく才能があった。でも、それとは別にプロで活躍するには『再現性』が必要だった。

チャンスを与えてもらったときに、プレッシャーをはねのけて自分の持てる技術と力を発揮して、首脳陣からの期待に応える。本当に、紙一重、あと一歩だっただけになんとも言えない難しさを感じます」(内田氏)

 

大石、村中、そして岩本。アマ時代に残した実績と、ポテンシャルを考えれば、いずれも球界を代表する選手になっていてもおかしくない逸材だった。そんなかつての「金の卵」たちが、結果を残せず「ただの人」となってチームを去っていく。

前出の菊地氏が言う。

「結局、プロは何位で入団しようが成績がすべての世界。入っていきなり結果を出せる選手は別ですが、そうでないその他大勢の選手はプライドや過去の自分の武器を捨ててでも、必死になってしがみついていくしかない。

どんなに才能に恵まれていても、輝かしい過去を持っていても、生き残る術を見つけられなければ一軍で飯を食べ続けることはできないのです」

人生はままならないものだが、野球選手の場合はなおさらだ。一瞬のチャンスに結果を出せないこともあれば、ケガに泣くこともある。

5年後、10年後、佐々木や奥川がプロの第一線でプレーを続けることができているかどうか。それは誰にもわからない。

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「週刊現代」2019年10月26日号より

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