同性愛を毛嫌いする人、自らの同性愛傾向に苦しむ人、共に感じる圧力

セクシュアリティをめぐる本音と建て前
ジュリア ショウ

選んだ性的指向ではない

二〇一七年に国際的な性的指向に関する法律と同性愛嫌悪症について大規模な報告書を書いた著者のひとり、アンガス・キャロルによれば、「LGBTの人たちが差別、非難、暴力の対象とならない国は世界のどこにもない」。なぜだろう? 「法律の改正も遅いが、社会の受け止め方、とりわけタブー視する人たちの変化は苦痛を感じるほど遅い」と彼は主張する。

同性愛に対する反論には、それは人が下す逸脱した選択だというものがある。逸脱者たちが選んだ生き方であり、彼らは身勝手な性犯罪者となり、結婚の神聖さ、さらには人類の未来をも脅かすというわけだ。しかし、それは選んだものではない。双子の同性愛者四〇九組を対象にした大規模な調査が二〇一五年に発表されている。著者アラン・サンダーズと同僚たちが発見したのは、同性愛が遺伝であることを示す、これまでで最も有力な証拠だった。

被験者のひとりだったチャド・ザウィッツは、調査結果が意味するものを次のようにまとめた。

「この結果は、僕と同じ疑問を抱いた同性愛の男性たちに、確かな証拠を与えてくれるかもしれない。「なんで僕がこんな目に遭うんだ?」と問い、疎外感を抱き、毛嫌いされ、ハラスメントを受け、のけ者にされ、悪者扱いされ、あるいはもっとひどい扱いをされてきた多くの男性たちに、自尊心を取り戻させてくれるかもしれない。もしかすると、同性愛は運命づけられたものというより、「自ら選んだもの」と思い込んでいる人たちの意識を変えてくれるかもしれない……

悪いほうへ考えれば、この結果を利用して、同性愛は「傷のある」あるいは「異常な」遺伝子が起こしたもので、修復が必要だという考えを正当化しようとする人もいるかもしれない。胎児の遺伝子検査を求める親たちを思い浮かべてほしい。悪くすれば、政府がすべての胎児への検査を義務化し、遺伝子プールの浄化のために強制的に妊娠中絶させるかもしれない。世界にあふれる憎しみを考えれば、これはそれほど突飛な想像とは思えない。

それでも世界は発展を続け、誰にとっても今より安全で、今より受け入れられる場所になるという希望を僕はまだ抱いている。後戻りしつつある国もいくつかあるものの、同性愛は世界中で積極的に受け入れられつつある。この寛容さが科学的事実と一緒になれば、人間のセクシュアリティに対するよりよい理解が新しい世代へ受け継がれていくだろう」

 

同性愛を嫌う男たちが抱く恐怖心

この問題はたしかに入り組んでいる。ゲイである人たちだけでなく、同性愛嫌悪症の人たちにとっても複雑なものだ。一九九六年に実施した実験で、研究者ヘンリー・アダムスと同僚たちは、六四名の男性に自分の同性愛嫌悪症のレベルを評価する質問票に記入させた。そのあと嫌悪症のレベルがさまざまな男性たちを陰茎プレチスモグラフにつなげた。これはペニスの円周を計測する機器で、性的興奮度表示器として使用される。要するに男性がどれほど硬くなっているかを測るのだ。男性たちはその状態で、異性愛、同性愛の男性、同性愛の女性が出てくる露骨な性的動画を見せられた。

彼らが発見したのは、「同性愛を嫌悪する男性のみが、男性の同性愛的な刺激に対して勃起の高まりを見せた」ことだった。研究者たちが出した結論は、「同性愛嫌悪症は同性愛的な興奮と明らかに関係があるものの、嫌悪する人はその興奮に気づいていないか、それを否定する」というものだ。ここから説明できるのは、同性愛者を嫌悪する理由の少なくとも一部は、ゲイによって自分が堕落させられたり、誘惑されたりすることへの恐怖心であることだ。