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お値段8000万円、即位パレード用「センチュリー」改造車の実力

高価な理由は「〇〇」にあった
御堀 直嗣 プロフィール

高価な理由は「車体の剛性」にあり

現在のセンチュリーは、2017年にフルモデルチェンジをした3代目となる。初代からの独創的な外観の印象を残しながら、時代の変化を反映し、動力にはガソリンエンジンと電気モーターを併用するハイブリッドを用いている。

「祝賀御列の儀」において、皇居から赤坂御所までをそのオープンカーがはじめて走る。4ドアセダンを基本とするセンチュリーをオープンカーに改造して納車するため、8000万円を上限とする費用が定められたとされるが、一番気になるのが、どのような改造が行われたのかだ。

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センチュリーの一般的な販売価格は約2000万円弱だが、御料車としては約5000万円と言われている。したがって追加の料金分、約3000万円がオープンカーとするための改造費用とみることができるだろう。

クルマにとって走行性能と乗り心地の両方に欠かせないのが、「車体の剛性」だ。これこそ、しっかりとした作りであったり、そこから得られる確かな感触であったり、安心感を生む要素と言える。

わかりやすい例として、段ボールは、厚紙の間に波状の紙をはさみ込んだ多層の用紙で、一枚の紙に比べしっかりした手応えがある。さらにそれを箱型に組み立てた段ボール箱は、重い荷物でも運送できるほどしっかりした包装になる。とはいえ、段ボール箱のふたを開けた状態では、形がゆがみやすい。ふたを閉めれば頑丈な箱になる。これは、密閉された箱になることで、互いに力を支えあい丈夫になるからだ。

 

そのように、車体の鋼板といえども、オープンカーのように段ボール箱のふたが開いたように天井がない形だと、ゆがみやすく、それは走行性能にも乗り心地にも手ごたえの薄い悪影響を及ぼす。市販されているオープンカーでも、専用の車体を適切に作り込まなければ、走行中にフロントウィンドウが左右にゆさゆさと揺れることがある。

一般的にセダンやクーペに比べ、オープンカーの価格が高い理由は、天井がない分、専用の車体を作り込まなければならないからだ。したがって今回の改造費用の大部分は、オープンカーにする際の「車体の剛性」の強化にあると考えられる。もちろん、特別の内装であったり、万一に備えた防弾装甲車体といった要素もあるかもしれない。その点は、米国大統領が乗る専用のキャデラックなども同様だ。

いずれにしても、御料車は通常数台が納入されるが、今回のオープンカーは1台のみとされているので、次に見られる機会は非常に限られるだろう。貴重な瞬間を目に焼き付けて見てはいかがか。