2019.10.16
# 企業・経営

オンワード600店閉鎖…ウラにある「アマゾン・エフェクト」の破壊力

消費行動が激変しつつある
加谷 珪一 プロフィール

アマゾンフレックスと同時並行で、同社は置き配の拡大にも乗り出している。一部利用者の画面にはすでに置き配のメニューが設定されており、希望すれば指定の場所に荷物を置いて配達が完了となる。

置き配については、米国など諸外国ではかなり普及しており、荷物が盗まれるといったトラブルも思ったほど多くない。置き配を指定する利用者は、ある程度、リスクを織り込んでいることに加え、治安がよい場所に住んでいることが多いので、意外と大きなトラブルにはなりにくいのだ。

 

既存のリアル店舗が生き残る3つの方法

在宅で荷物を受け取らなければならない従来方式と比較して、置き配は配送事業者にとっても、購入者にとっても圧倒的に効率がよく、配送業務の生産性は格段に向上する。置き配の割合が、一定のしきい値を超えた段階で、消費者の行動パターンは一気に変わり、通販シフトが急激に進むと筆者は見ている。

アマゾンフレックスのような個人事業主を動員するサービスについては、一部から危険性を指摘する声も出ているが、大手宅配事業者の配達員(社員)が、女性宅に侵入し、強制わいせつ罪で逮捕されるという事例が発生していることなどを考え合わせると、社員の配達員は安全で個人事業主の配達員は危険というのは、単なる思い込みに過ぎないだろう。

アマゾン・エフェクトの時代に小売店(あるいはメーカー)が生き残るには、(1)独自のEC事業を拡大する、(2)自身がアマゾンなどネット通販に出店する、(3)体験など現地でなければ提供できない商材にシフトする、という3つの方法しかない。

大量閉店に追い込まれているオンワードは、自社サイトによるEC事業を中心としつつも、ZOZOTOWNへの出店も行うなど全方位の体制だった。ところがZOZOの会員割引制度をめぐって両社は対立し、結局、オンワードはZOZOから撤退してしまった。今後は、直営のECサイトの販売をさらに強化していく方針とのことなので、同社の戦略は(2)から(1)にシフトしたことになる。

(3)はいわゆるコト消費ということになるが、必ずしもイベントなど大がかりな仕組みが必要とは限らない。良品計画は、店舗での買い物そのものに価値を見いだしている顧客も多く、一種のコト消費型のビジネスになっている。目立った特徴がなく、価格のみが訴求ポイントとなっている小売店は厳しい展開を余儀なくされるかもしれない。

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