10月24日に開幕する東京モーターショーにほとんどの海外メーカーが出展を取りやめ、その凋落ぶりが報じられているが、モーターショーの凋落は東京だけではない。パリ、デトロイトのショーもかなり寂しいものとなっているが、中でも今年9月に行われたフランクフルトモーターショーの衝撃は、あまりに大きいものだった。
フランクフルトモーターショーは展示面積20万㎡超という巨大なモーターショーであり(東京モーターショーは最大だった1997年で5万㎡)、ドイツメーカーは巨大なブースを設営してブランド力を競い合ってきた。
メルセデスベンツはフェストホールという巨大なイベント会場を丸ごと使った3~4階建て、エスカレーター付きのブースを構築し、アウディは会場中庭に巨大な仮設ブースを建て、BMWはブースの外周を一周する「サーキット」を仕立てて車を実際に走らせる。
他のモーターショーでは考えられないスケールとクオリティを誇るのがフランクフルトモーターショーだったのである。前回2017年までは。
それが今年2019年、その変わり様に唖然とすることになる。メルセデスベンツのブースは会場の半分ががらんとして薄暗く、ホールの半分しか展示に使っていない。そしてその半分の展示もいままでにない寂しさであった。
BMWはいつものサーキットがないだけでなく、展示面積が前回の1万1000㎡からなんと3000㎡と驚くほど小さくなっていたのである。ドイツメーカー以外のブランドも、日本メーカーで出展しているのはホンダのみ、イタリアからはVWグループのランボルギーニのみ、フランスからはルノーのみというありさまなのだ。
それにしてもこの凋落ぶりは極端である。
一般的には情報発信の場としてのモーターショーの役割が低下していることがあげられているが、来場者数は前回まで大きく減っていたわけではない。ドイツでの販売台数が少ないブランドが撤退するのは理解できるが、ドイツブランドにとっては自国のマーケティング上このショーは今でも重要なはずだ。
ここまで一気にスケールダウンするという理由としてそれだけとは考えられない。
ここからは私の勝手な推測になるが、その理由はドイツ各社の展示内容から感じ取ることができたような気がする。その理由とは何か──。