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# カジノ

日本のマネーを狙う「カジノ」の知られざる実態

ビジネスチャンスか地獄の入り口か

日本人が知らないカジノの実像

マカオ中心街にある大手カジノホテルの上層階。エレベータを降りると、そこには一般のカジノ客で溢れる1階とは別世界があった。

広いフロアに6台のバカラテーブルが置かれ、その周囲をバーカウウンターやソファが取り囲む。壁は白、天井からは豪華なシャンデリアが垂れ下がっている。奥には、人目を気にせず遊べる個室もある。1階の喧騒が嘘のように静かで、緊張感に満ちた空気が流れている。ここはVIP客のみが立ち入りを許されるフロアなのである。

午後10時を過ぎる頃、6台のテーブルのうち4台が埋まっていた。客はいずれも中国人らしく、男性客に混じって毛皮をまとった派手な顔立ちの若い女性もいる。

「ジョワーッ!」

勝負が決まるたび、男性客の奇声がフロアに響いた。がっしりとした体格の30〜40代で、角刈り頭に柄シャツ、黒いスラックスに革靴を履き、太い腕には金の時計をしている。男の前には青いチップの山がある、丸いチップが1枚1万香港ドル(約13万6000円)、四角い方は10万香港ドル(約136万円)である。

 

男がテーブルを離れる気配はない。勝っても負けても、一晩でかなりの金を動かすつもりだろう──。

日本でのカジノ解禁が議論となっていた2013年暮れ、筆者がマカオで目の当たりにした光景だ。すでに当時、マカオは世界で群を抜くカジノ市場となっていた。

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近づく日本版カジノの誕生

そんなマカオのカジノで、私はVIPフロアに潜入した。カジノ運営企業から委託を受け、フロアを運営する業者幹部に案内されてのことだ。客には話かけず、写真は撮らないというのが条件だった。

VIPフロアは、カジノの核心部といえる。マカオの場合、VIPフロアの収入は一般客フロアをはるかに凌ぐ。シンガポールのカジノでも、VIP収入は一般客全体に匹敵する。カジノの成否は、VIP客の誘致次第といっても過言ではない。

そんな実態を含め、カジノについて日本人は知らないことが多い。にもかかわらず、日本版カジノが誕生する日が近づいている。今後、カジノの設置場所や運営業者が決定し、数年内に最大3ヵ所にカジノが誕生する見通しだ。

誘致に名乗りを挙げる自治体も相次いでいる。今年8月には、横浜市の林文子市長が誘致を宣言してニュースとなった。これまで誘致を表明もしくは検討している自治体・地域は8つに上る。そんな中でも、横浜は大阪と並ぶ有力な候補地とみなされている。

ただし、世論は必ずしもカジノ解禁に賛成していない。横浜の場合も、地元紙『神奈川新聞』が7月に行った世論調査では、「反対」が62パーセントに上っている。本当にカジノは日本に必要なのだろうか。