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「合コン」のノリでオペラを学ぶ方法

大都会で「夜の文化」を楽しむ

かつて、「オペラ入門書戦国時代」があった!

私が以前オペラの入門書を書いたのは、4半世紀より前、まだ20世紀のことだった。当時、インターネットはまだまだ普及していなかった。だから、情報を手に入れたい者は、本か雑誌を探すしかなかった。そんな時代に本を書くことは、今よりずっと気楽だった。

 

当時、類書はあまりなかったのだが、その後ほどなくして、オペラ入門書戦国時代に突入した。早い話が消耗戦である。物量作戦である。とにかくページ数を増やそう。ぶあつい本にしよう。あげく、CDをつけよう。DVDをつけよう。そんな時代になったのである。本当にこれで出版社は儲かるのかと、他人事ながら心配してしまうような入門書がいくつも発売された。

たぶん1997年に東京の新国立劇場がオープンしたことも関係がある。東京で初めての本格的なオペラ劇場=オペラハウスは大いに注目を集めた。とりあえず新しいところに行ってみたいというのが都会人の性であるから、当初は混雑した(が、都会人は飽きるのも早いので、現在はそんなことはない・・・)。

インターネット時代のオペラ入門書

だけれど、それも昔の話。インターネットに接続すれば、オペラ作品の情報も、それどころか音や動画も無料で手に入れることができる。いやはや、みなさん、なんという人間愛に満ちているのであろうか。誰にも頼まれていないのに、情報やらデータやらをどんどんインターネットに流してくれるなんて。

実は、「現代新書のためにオペラの入門書を書きませんか」と言われたときは、まだそういう時代ではなかったのである。だから、ごく単純に考えたのだ。手ごろな値段で読めるやさしめの入門書を書けばいいのだろうと。

原稿は早く書かないと、時代が変わってしまうのだ(女性は口説けるときに口説かないと、あとでは口説けなくなるのと同じだ。え?)。ほかの仕事にかまけている間に、情報やデータが無料の時代になってしまった。

もちろん、いい加減で信用できない情報がいっぱい、音質や画質がよいとは言えないデータがいっぱい。権利関係が危なっかしいものもいっぱい。

でも、無料ですからね。タダより強いものはない。そんな時代にわざわざ買っていただける本を書くのは、昔の人が知らない苦労である。

さて、どんな本にすればいいか。歩きながら、泳ぎながら、運転しながらつらつら考えて、ひとつの結論にいきついた。

ソノ気にさせるしかないじゃないか。妄想をかきたてるしかないじゃないか。