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現代版「ベルリンの壁」…香港の騒乱は「中国崩壊」の序曲か

いよいよ追い詰められた習近平

やはり、前門の虎・後門の狼

8月30日公開の記事「中国は永遠に民主化できない……天安門事件より深刻な事態に陥る可能性」で解説した段階よりも、香港の状況は悪化している。

10月1日の中国建国70周年の日に行われた香港民主派のデモでは、警官が実弾を発射し、18歳の高校生が一時重体となった。この高校生は、一命をとりとめたものの、警官が非力な高校生に向けて明らかに殺意を持って発砲する姿が、世界中にネット映像として流れた。

これは、天安門事件で有名な「戦車の前で1人立って阻止しようとする若者」の映像と同じくらいのインパクトを世界中の民主主義者・自由主義者に与えたかもしれない。「権力に蹂躙された無垢な少年」のイメージが世界中に拡散し、香港が「中国本土並み」に蹂躙されようとしていることが世界中に明らかにされたのだ。

中国共産党は、「警官が命の危険を感じたため行った正当防衛だ」と強弁しているが、完全武装の警官が、一般市民に対して「正当防衛」などと主張すること自体笑止千万である。

 

共産党が完全支配する中国本土では年間10万件以上も起こっている(香港紙の報道などによる)とされる、国民の反政府暴動では、このような発砲事件など日常茶飯事なのだろう。しかし、少なくとも現在のところ西欧社会から「民主主義陣営」と思われている香港ではそのようなわけにはいかず、苦慮している様子がありありとうかがえる。

しかも、その後に緊急状況規則条例(緊急条例)を50年ぶりに発動するという、最悪の選択をしてしまった。

「緊急条例」とは英国植民地時代に制定されたいわば戒厳令のようなもので、当面は「覆面禁止法」以外に適用しないと述べているが、中国政府(およびその傀儡ともい言える香港行政長官)のいうことなど、世界中のだれも信用しない。

これまでの中国共産党の言動から導かれる「オオカミ少年効果」である。