中国の中学校で「中3が中2を4階から放り投げた」事件の深刻な顛末

被害者が加害者をいじめていた…?
北村 豊 プロフィール

感情が爆発してしまった

現在までのところ、韋某の医療費は安陽中学が3万元(約45万円)、加害者の親が1.5万元(約22.5万円)を、各々立て替えて払いしているが、今後の治療には少なくとも40万元(約600万円)が必要である。中国には「水滴籌(すいてきちゅう)」と呼ぶ医療費に特化した寄付金を募るネットのプラットフォームがあるが、韋某の姉はこの水滴籌を通じて10万元(約150万円)の寄付金を集めることに成功した。

韋某の姉が水滴籌を通じて韋某の治療費として10万元の寄付金を集めたということが報じられると、水滴籌のコメント欄に韋某に関する好ましくないコメントが書き込まれた。

 

それは、被害者の韋某が安陽中学の番長的存在で、頻繁に学友をいじめていたことが事件の原因だというものであった。

加害者の黄某は身長190センチメートルの巨体であるにもかかわらず、内気なために歳下の韋某に馬鹿にされ、常にいじめの対象にされていたという。

事件当日はいつもなら韋某のいじめに耐えていた黄某が我慢の限界を超えたことで、抑えに抑えていた感情が爆発し、馬鹿力を発揮した黄某は校舎4階の廊下で韋某を捕まえると、韋某を軽々と頭上高く持ち上げ、無造作に校舎の外へ投げ捨てたのだ。

韋某を4階の廊下から投げ捨てた後、黄某は無表情に4階から下の方を覗き込み、韋某が地面に横たわっているのを確認すると、何事もなかったかのように悠然と教室へ戻ったのだった。日頃、番長面(づら)して学友をいじめていた韋某は自業自得で天罰を受けたという事ができる。

ネット上に韋某の日頃の言動を非難する論調のコメントが殺到すると、韋某の父親は憤怒の表情を浮かべ、メディアの記者に対し次のように語ったという。すなわち、息子の学業成績は決して良いとは言えないが、学友との間に揉め事があったという話は聞いていない。学校で学生が問題を起こせば、担任の教師や校長から保護者に連絡が来るはずだが、我が家にそうした学校からの連絡は一度も来たことがなかった。

一方、あるネットユーザーは事件の動画を見たとして次のように指摘した。

 動画の中で被害者は抱き上げられて4階から下へ放り投げられた。それなのに、9月22日付で都安瑶族自治県教育局が発表した事件通報の表題には、「学生が『跌落(落下して)』負傷した件」とあり、本文にも「落下することになった」とあった。これではあたかも「意外跌落(思いがけず落下した)」かのように思わせるが、動画には体格の好い黄某が韋某を軽々と担ぎ上げると、間髪(かんはつ)をいれずに韋某を空中へ放り投げる姿が映っていた。黄某は韋某を故意に放り投げたことは明白なのに、県教育局が事件を「跌落(落下して)」と通報した理由は、県教育局ならびに安陽中学が事件発生の責任を回避しようとしていることに他ならない。

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