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中国の中学校で「中3が中2を4階から放り投げた」事件の深刻な顛末

被害者が加害者をいじめていた…?

何度も暴力をふるわれて

2019年9月16日の朝8時40分頃、広西チワン族自治区の北部に位置する河池市に属する都安瑶族自治県にある安陽中学校で、3年生の男子(16歳)が2年生の男子(14歳)と口論した末に、前者が後者の身体を担ぎ上げると校舎4階の廊下から1階の地面へ投げ落とすという事件が発生した。

この事件の状況は学校が4階の廊下に設置していた監視カメラで撮影されていたが、その動画は後にネットに投稿され、人々に事件の実態を知らせることになった。

2年生の男子が落下したのは、運動場を囲む合成ゴム素材で塗装されたトラックの上であったから、幸運にも彼は即死を免れ、重傷を負ったものの事件直後の時点で意識があった。一方、加害者である3年生の男子は通報を受けて到着した公安警察官によって連行された。

 

この驚くべき事件の原因は「校内いじめ」であるが、メディアが報じた事件の全容を取りまとめるとこうなる。なお、「いじめ」は中国語で「覇凌(発音;baling)」というが、これは英語の“bullying”の音訳であり、「校内いじめ」は「校園覇凌(school bullying)」と言う。

都安瑶族自治県教育局はインスタントメッセンジャーアプリ「微信(WeChat)」の公式アカウントで下記のような9月22日付の通報を行った。

 表題:都安瑶族自治県の安陽中学で学生が“跌落(落下して)”負傷した件に関する通報
 2019年9月16日午前8時40分頃、都安瑶族自治県の安陽中学で中学3年の“黄〇軒”(以下「黄某」)と中学2年の“韋△存”(以下「韋某」)が口論となり、激しい論争の末に、韋某が校舎の4階から運動場の周囲にある合成ゴム塗装されたトラックの上に落下することになった。
 事件発生後、学校は最初の肝心な時間に最善を尽くし、負傷者の韋某を都安瑶族自治県医院(以下「県医院」)へ搬送して応急手当を行った。その後、当日13時頃に韋某はより専門的治療を受けるために広西チワン族自治区の区都である南寧市にある「広西チワン族自治区医院」(以下「区医院」)へ転院となったが、学校は医療費と薬代の一部を立て替えた。現在、韋某は意識を取り戻しているし、加害者の黄某は公安機関によって刑事拘留されている。
 当日午前中に安陽中学は直ちに学生の管理を正す業務を展開した。一方、我が局は全県各小・中学校の校長を招集しての緊急会議を開催し、“挙一反三(一を聞いて十を知る)”を目標として掲げ、学校安全を図るために隠れた危険を取り除く業務を展開し、学生の安全教育をさらに強化して教育秩序の維持を図ることを確認した。
                 都安瑶族自治県教育局 2019年9月22日

加害者である黄某の母親は次のように語った。

 息子の黄某は身長が190センチメートルあるにもかかわらず、内気で消極的なために学校では頻繁にいじめの対象にされていた。今回、衝突が発生した具体的な原因には心当たりがない。ただし、先学期には息子と韋某の間で身体的な衝突が発生することがたびたびあった。その原因は、安陽中学の学生が暮らす宿舎の部屋で黄某は2段ベッドの下段に寝ていたが、上段に寝ていた同級生がまだ起床時間になっていないのに故意にベッドの上で飛び跳ねたので、教室で黄某がその同級生に故意にやったのかと問いただして争っている混乱の最中に韋某が机の角に頭を打ったことだった。これを根に持った韋某はその後仲間を集めては何度も黄某に対して暴力を振るっていたのだ。

母親は「息子は大人しい性格で、いつも私に学校でしょっちゅういじめられていると言っていた。私があんたは身体がこんなに大きいのに、どうしていつもいじめられているの。いじめられたら先生に言いなさいと言うと、息子が先生は何の役にも立たないし、先生たちは誰もが韋某たちを怖がっていると述べた」と言い、「韋某はいつも十数人の仲間を集めて街中で息子を追いかけて殴っていた」と付け加えた。

被害者である韋某の父親は次のように述べた。

 事件当日の9月16日は月曜日であったので、母親は息子の韋某を安陽中学へ送り届けたが、帰宅してすぐに学校からの電話連絡を受けて、息子に事故が起こり、負傷して県医院へ搬送されたと知らされた。慌てて県医院へ駆け付けたが、ベッドに横たわる韋某を見てひどく心を痛めた。韋某はその日の午後に区医院へ転院し、区医院で精密な検査を受けた結果、全身の多くの個所で臓器が深刻な損傷を受けていることが判明し、現在はまだICU(集中治療室)の重傷看護室に収容されている。

韋某の一家は少数民族の「壮族(チワン族)」で、韋某には2人の姉と双子の兄がいる。双子の兄も安陽中学で同じクラスに在籍している。