「きっと連れて逃げられないからあきらめている」
「救助も避難も迷惑になるから犬といっしょに家にいるだろう」
「人命優先なのもわかるから避難所にはいかないと決めている」……。
これは、SNSにつぶやかれた「ペットと避難ができない」という悲鳴の一部だ。
動物保護と譲渡活動の新しい形を模索し続け、震災のペット問題にも長年尽力してきた特定非営利活動法人ランコントレ・ミグノンの友森玲子さん。先日の台風15号被害のときには、千葉の東金で緊急のペット一時預かりを行った。しかし今回の台風19号では、その東金や、ミグノンのある地域そのものも避難勧告が出た。
友森さんはツイッターで次のように呼びかけた。「東金シェルターの地区に避難勧告level4が出ました。残念ながら避難所はペット不可なので避難しないで頑張ると管理人が言って困っています。同行避難できる場所がありましたら情報をください」
いまや、どこに住もうが、ペットを飼う一人一人が、「ペットとの避難」について意識を持つ必要があるのだ。
そこで今回は、友森さんが広島・岡山・愛媛など西日本を中心に被害が増大した2018年7月21日に寄稿してくれた、集中豪雨災害のときのペット環境の現実と解決策を改めてお伝えする。
行政や獣医師会、ボランティアが徐々にサポート
2018年の夏に豪雨被害が発生した当初、SNSでは、「ペットOKの避難所がない京都市」「ペットといっしょにだとダメだと言われた」など、ペットとの避難は、困惑、混乱するコメントが多くアップされた。
その後徐々に、避難所を案内するボランティア系のコメントやサイトがなどがアップ。さらに、合わせて行政などの動きも整い始め、12日までで、下記のような動きがあった。
中でも、ペットと暮らしている人たちに賛同されたのは、岡山県総社市だ。あとで詳しく触れるが、“ペットと同伴避難”できる避難所を提供し、真備町の避難者も利用できる体制にしたという。
総社市庁舎内の会議室にできたペット避難所は、エアコンも完備され、飼い主もいっしょに避難できる理想的な避難所だ。SNSでも取り組みを賞賛する声が多く書き込まれた。
ボランティアなどのサポートで次第に補われつつはあるが、ペットとの避難は地域によってかなり格差があるというのが現実のようだ。