ジェフ・ベゾス肝いり! Amazonが「謎の通信規格」をつくる理由

Alexaの陰で進行する秘密実験とは
西田 宗千佳 プロフィール

アメリカでは、昨年発売したこの電子レンジが爆発的にヒットし、「Amazonでいちばん売れた電子レンジ」になってしまったのだ。

今年、コンベクションオーブンを新たに売り出すのは、その好調に推されて、という部分がある。とはいえ同社によれば、「家電開発のサンプルという意味合いは変わらず、今後、白物家電メーカーを目指す意図はない」とのことだが。

一方で、こうした家電の好評には、もう1つ、重要な要素があったという。スマートホーム関連製品担当バイスプレジデントのダニエル・ラウシュ氏は次のように語る。

「視力にハンディを抱えた人々に評価されたんです。ボタンやメニューを細かく操作するよりも、音声操作のほうが使いやすい。特に、彼らにとってはそうです。

カメラがついた『Echo Show』との連携機能として、食品のパッケージを撮影すると、そこから調理時間を読み取って設定できるようにもしました。このような連携ができることこそ、Alexaと接続する家電の強みです」

ダニエル・ラウシュAmazonのバイス・プレジデントをつとめるダニエル・ラウシュ
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すなわち、「人間が機械の使い方を理解したうえで直接、操作する」のではなく、「機械のあいだに入る存在=音声アシスタントに操作を任せる」というやり方だ。現状で、そのような使い方のできる家電は多くない。

 

だからこそ、Amazonとしては、昨年来展開している電子レンジなどの例を活かし、「インテリジェント家電のエンジン」としてAlexaを活用したいのだ。

こうした状況に家電メーカー側がどう対応するかは、重要な課題である。日本でもテレビメーカーなどは、一部リモコン代わりに音声アシスタントを使う方向性を見出しているが、全体としての動きはまだ鈍いのが実状だ。

「スピーカー」の再定義

そしてもう1つ、Amazonが今回打ち出した意外な策がある。

──「音楽の再アピール」だ。

スマートスピーカーは「スピーカー」の名からもわかるように、もともと音楽向けにつくられた部分がある。特にアメリカでは、2014年ごろから急速に、音楽の楽しみ方が「ストリーミング配信」に切り替わってきた。

スマートフォンで使うのが基本ではあるものの、スマホのないリビングなどで、かつてのラジカセやステレオセットの感覚で「気軽に音楽を聞くデバイス」として使うことを目的に開発されたものなのだ。そのため、発売初期から圧倒的に「音楽を聴くため」に使われている。

現在はホームネットワークなどの用途が広がってきているが、音楽という要素がいまだ大きなウエイトを占めていることに変わりはない。

そこで彼らが打ち出したのが、「Echo Studio」という製品だ。