ジェフ・ベゾス肝いり! Amazonが「謎の通信規格」をつくる理由

Alexaの陰で進行する秘密実験とは
西田 宗千佳 プロフィール

指輪型である「Echo Loop」は、さらに割り切ったデバイスだ。

話すときは指輪を口に、聞くときには耳にあてることで機能する。思いついたことをAlexaに伝える際に、スマホをカバンの中に入れていても大丈夫……という発想の機器だ。

Echo Loop指輪型デバイスの「Echo Loop」。振動によって通知してくれるが、口に当ててAlexaに話し、耳にあててAlexaの回答を聞く、というしくみになっている
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それが現実的な形かどうかはともかく、Amazonは音声アシスタントであるAlexaをもっと身近にして、「24時間、自分のそばに控える秘書」のような役割を担わせようとしている。

そのためには、メガネや指輪など、いつも身につけていてすぐに呼び出せる存在である必要がある。要するに、スマホやリモコンより、さらに身近なものにしないといけない、という発想なのだ。

そのためには当然、音声アシスタントの進化が必要になる。

 

英語向けには、利用者がよくおこなう行動から学習し、先読み対応する「Alexa Hunches(勘)」や、人間どうしでおこなうような、連続的な対話で一連の操作や買物を一度に処理できる機能の搭載も進んでいる。日本語はまだまだ進化途上で、そこまで到達していないのが実状だ。

Amazonにとっての現在の課題は、そうした進化をいかにわかりやすく提示し、Alexaの利用を促進するか……という点に変化してきている。

Amazonが白物家電をつくる理由

そのような発想からAmazonは、ある機器の例を示した。

それは「Echoをバンドルしたコンベクションオーブン」だ。コンベクションオーブンとは、オーブンレンジと電子レンジをあわせた家電のこと。同社は昨年、Echoと連動する「電子レンジ」を発売したが、その発展版といった意味合いがある。

スマート電子レンジアメリカで発売が予定されている「Echoをバンドルしたコンベクションオーブン」。あらゆる加熱調理を「声でおこなう」ことが狙いだ
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とはいえ、Amazonが“本格的に”白物家電メーカーを目指しているわけではない。その点は、この連載の以前の記事でも指摘したとおりだ。

この製品はもともと、「低価格かつシンプルな家電に、音声アシスタントを連携させることで価値を向上させることができる」ことをアピールするための、“アドバルーン”のようなものだった。電子レンジ部分は1万円以下で買えるレベルの、きわめてシンプルな構造のものなのだが、数ドルで製造可能な「Alexaと連動するネットワークチップ」を組み合わせることで、「ポテトを蒸して」といったシンプルな命令で調理が可能になった。

結果として、Amazonの予想を超える事態が起きた。