ジェフ・ベゾス肝いり! Amazonが「謎の通信規格」をつくる理由

Alexaの陰で進行する秘密実験とは
西田 宗千佳 プロフィール

Amazonもアメリカでは、自動車内に据えつける安価な「車内用スマートスピーカー」といえる「Echo Auto」のテスト販売を始めている。だがその先で、自動車メーカーとの連携もおこなっている。

ゼネラルモーターズ(GM)は、2020年上半期に発売される乗用車やトラックに、Amazonの自動車向け音声アシスタントである「Alexa Auto」を搭載すると発表した。トヨタなどはすでに、海外市場向けに、「スマホと連携してAlexaが使える車内システム」を搭載しているのだが、GMの取り組みはもう一歩、先を見据えたものだ。

自動車内に搭載された通信システムを使うため、スマホとの連携が不要であるうえ、音楽などの再生はもちろん、エアコンのオン/オフやシートの調整までが音声でおこなえる。自動運転などの連携機能は備えていないが、ナビの呼び出しや設定はもちろん可能だ。

さらには、自宅のエアコンや照明のコントロールもできるし、逆に家の中から、自動車側へのナビ設定や燃料の残量確認などもできる。

「Alexa内蔵」のキャデラックGMが2020年に発売を予定している、「Alexa内蔵」のキャデラック。自動車自体が通信をしてAlexaを利用する
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Alexaトヨタがアメリカで販売中の車種には、スマホのアプリでAlexaと連動する機能を備えたものがある
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音声アシスタントについては、「声で命令を与えるよりスイッチを押したほうが手っ取り早い」という批判がある。それは事実だ。

だが、運転中の自動車内のように「手がふさがっている」場所・状況での操作や、自動車から家屋の内部を確認するような「手が届かない」場所・状況での操作については、音声アシスタントが大きな価値を発揮する。

GMは、この点を突いてきた。

メガネや指輪にも「Alexa」が

音声で機械とコミュニケーションをすることは、「画面を見続ける」必要がある現在の家電のあり方に対するアンチテーゼでもある。

 

スマホはもちろん便利なものだが、自動車の運転中のように両手が使えないシーンは日常的にたくさんあるし、スマホを取り出すのが面倒なときもある。そして、そもそも、歩きスマホは危険だ。

そこでAmazonが提案したのが、「メガネ」と「指輪」の活用である。どちらも、限定的な顧客に使ってもらいながら製品を磨く「Day 1 Editions」というブランドに属する製品であり、当面はアメリカ市場にのみ投入される。

Echo Framesメガネ型のAlexa内蔵機器「Echo Frames」。スマホと連携し、音声アシスタントであるAlexaの力をどこでも使えるようにする
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Alexaを搭載したメガネである「Echo Frames」は、スマホと連動する「スマートグラス」に属する製品だ。

スマートグラスといえば、一般にはレンズ部にディスプレイが内蔵されていて、実景とCGによる映像とが同居するような製品を指すことが多いが、Echo Framesは違う。ディスプレイ機能はいっさいなく、音声で情報を得るのが基本だ。スマホへの通知やナビゲーション、検索結果などはAlexaの声で受け取り、命令も声で伝える。

「視界を情報で覆うのは危険」(Amazon担当者)という発想からだ。