(戸坂弘毅・ジャーナリスト、文中一部敬称略)
ある大物との接近
今年4月、元自民党幹事長で岸田派名誉顧問の古賀誠がテレビ番組に出演し、自らが派閥の後継者に指名した岸田について「ポスト安倍でなくてもよい」とし、さらに次期総裁候補として、なんと菅の名前を挙げた。
この突然の発言に岸田は衝撃を受けた。背後には、何があったのか──。
安倍政権にとって古賀は敵だ。野中広務や加藤紘一とともに自民党内ハト派の代表格であり、建設族のドンだった古賀を、安倍は以前から毛嫌いしてきた。「古賀さんは悪い自民党の代表格だ」と漏らす安倍の言葉を、多くの永田町関係者が耳にしている。
その古賀は、2012年に政界を引退した後、日本共産党の「赤旗」にまで登場し、集団的自衛権の行使容認などに関する安倍政権の姿勢を批判。「反安倍」の姿勢を鮮明にしてきた。
古賀誠(Photo by gettyimages)
ところが、安倍政権の大番頭である菅がここ数年、その古賀と急接近しているのだ。
古賀は引退後も自民党本部近くの砂防会館に個人事務所を構え、政治資金を岸田派の若手に配ることで政治的影響力を保持している。
今春、その古賀事務所を久しぶりに訪れたある後援会関係者は、驚いた。室内に、古賀の孫を抱いた菅が、笑顔で古賀と並んでいる写真が掲げられていたからだ。
古賀をよく知る永田町関係者は「10年前に菅が古賀派を脱会してから2人は疎遠になっていた時期もあったが、現在は蜜月関係にある。古賀は福岡県で長年、麻生と主導権争いを繰り広げてきたので、2人は『反麻生』で利害が一致するんだ」と解説する。
具体的には、古賀の政治資金集めに菅が全面協力しているという。前出の永田町関係者は「古賀は岸田派への影響力を維持しようと今も資金集めに余念がないが、引退して7年も経てば苦しくなってくる。その古賀の金集めを、菅が助けている」と話す。