「令和おじさん」菅官房長官、いつの間にか最強の政治家になっていた

進次郎を利用し、麻生を潰し…
戸坂 弘毅

小泉進次郎の後見人として

もっとも、小泉進次郎については今回、菅が強く入閣を安倍に迫ったわけではない。

小泉は2012年、2018年の自民党総裁選で、いずれも安倍が蛇蝎のごとく嫌う石破茂に投票。森友・加計学園をめぐる問題がマスコミを賑わせた際には、政府の姿勢を公然と批判した。

そのため、安倍は当初、今回も入閣させようとは考えていなかった。菅が、一度は安倍に「進次郎を入閣させたらどうですか。今回は受けると思いますよ」と進言したのは確かだ。だが、安倍が消極的だったため、それ以上、強く推すようなことはなかったという。

今回の入閣は、安倍自身のいわゆる「お友達」や、主流各派が推薦する「危ない議員」を数多く入閣させるための「隠れ蓑」として、進次郎人気を利用しようと安倍自身が思い直した結果だった。

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だが、マスコミ報道の多くは「進次郎の入閣は菅のおかげ」との論調で報じた。これにも安倍周辺は「菅が自らを大きく見せようとして記者を誘導したのでは」と疑いの目を向けた。

改造の直前にも、小泉と滝川クリステルの結婚発表とほぼ同時に「月刊文藝春秋」に小泉と菅の対談が掲載されたこともあって、あの首相官邸の菅を訪ねての結婚報告自体が「出来レース」との見方が永田町を駆けめぐった。安倍周辺は「菅は、進次郎人気も利用して政権取りに前のめりになっている」と警戒を強めていたのだ。

一方、安倍自身は、小泉について周囲に「環境省は課題山積だ。お手並み拝見だな」と冷ややかに語る。小泉を「ポスト安倍」候補と公言する菅との温度差は明らかだ。

 

今年の統一地方選と参院選は、いずれも自民党の勝利に終わった。安倍の任期切れが近づく中、両選挙では四分五裂の野党そっちのけで、安倍政権の実力者たちによる熾烈な覇権争いが繰り広げられていた。「ポスト安倍」政権下で誰が主導権を握るのかをめぐって、党内抗争がいよいよ本格化していたのだ。

その主役は、もちろん「影の総理」である菅だ。