Photo by iStock
# 英語 # 週刊現代 # 芸術

相田みつを『にんげんだもの』英語でなんて言うか、わかりますか?

海外のファンは、こんな訳で読んでいる

独特の書体と平易な日本語から、近年は外国人の心も掴んでいる相田みつをの作品。単純な言葉とはいえ、その奥は深い。微妙なニュアンスを英訳するにはどうすればいいか、参考にしてみてほしい。

世界に通じる詩

「it's ok to stumble, isn't it we are human after all」

この英文は、相田みつをの代表作「つまづいたっていいじゃないか にんげんだもの」を訳したものである。細かい解説は後に譲るが、シンプルかつ広がりを感じさせる訳文と言える。

「うつくしいものを美しいと思えるあなたのこころがうつくしい(your heart is so beautiful believing that something beautiful is beautiful)」

「しあわせはいつも自分のこころがきめる(happiness is always decided by one's own heart)」など、1~2文の簡単な言葉で、生きるヒントを与えてくれるみつをの作品。これらの英訳は、有楽町・東京国際フォーラムにある相田みつを美術館に掲載されている。

 

同館の館長で相田みつをの息子・一人氏はこう語る。

「父の作品はひらがなと簡単な漢字で描かれていることもあり、留学生をはじめ多くの外国人の方が当館にはいらっしゃいます。より多くの方に作品を理解してもらうために、数人の方に翻訳をお願いし、展示しているすべての作品に英訳を付けています」

2017年にノーベル経済学賞を受賞したシカゴ大学のリチャード・セイラー教授も、みつをの言葉に感銘を受けた人物のひとりだ。同教授は本誌取材にこう語った。

「'10年、東京に滞在していた時に、相田みつをの美術館をたまたま訪れました。当時、彼のカリグラフィー(書道)は、私には理解できませんでしたが、作品の英訳を読み、個人としても経済学者としても、共感を覚える作家だとわかったのです」

リチャード・セイラー教授(Photo by gettyimages)

セイラー教授は、身近な経済行動について、心理学などの精神的分析を交えて解明する「行動経済学」の第一人者だ。彼の研究室にも複製原画を飾っているという。

「従来の経済学は人間を、多かれ少なかれパーフェクトな存在に規定していました。でも、完璧な人間など実際には存在せず、判断を間違ったり、合理的でない行動を自ら取ることもしばしばあります。相田みつをの詩は、人間が人間であることをリアルに表現していると思います」(セイラー教授)