夫婦の認知症は「うつる」と言われる…その深すぎる理由

愛だけでは耐えられなくなる
週刊現代 プロフィール

くり返すが、妻や夫の認知症は、夫婦のあいだでうつると言われている。家庭内で夫婦の問題として解決しようとするうちに、袋小路に入ってしまう。

「高齢の妻と夫がともに認知症を発症する『認認介護』になると、周囲がふたりを助けられなくなります。介護保険は、家族による申請を前提としている。認認介護の場合、双方が障害に気づかないため、誰も介入できないまま認知症が進行して、ゴミ屋敷の状態になったり、ボヤ騒ぎを起こすこともあります。

認知症の人は自覚がないので、自宅をゴミ屋敷にしようが、ゴミの日を間違えて出そうがお構いなし。いくら注意したって意味がありません。ですから、地域社会の困り者ということになりがちです。近所の人が、地域包括支援センターに相談して、介入してもらっても、『余計なお世話だ』と支援を拒絶してしまうのです」(医師の朝田隆氏)

ひどいケースでは、認知症の夫婦のいずれかが部屋のなかで亡くなっているにもかかわらず、パートナーは気付かないまま、生活を続けていることもある。そうなる前に、片方を介護施設に入所させるべきであることは、言うまでもない。

では具体的にはどんな兆候が表れたら、いよいよそのときが来たと腹をくくればいいのだろうか。

まず、介護する側がチェックすべきポイントから見てみよう。

 

経済的な不安があり、介護と仕事を両立できないとき

認知症は進行する一方で治る見込みはないため、介護費用は増えていく。経済的な不安から仕事をする必要があるにもかかわらず、仕事との両立が危ぶまれる場合は、施設に入れるのも手だ。

認知症の妻や夫に暴力をふるってしまうとき

暴力をふるった人が自己嫌悪を感じ、そのストレスから逃れるために、また手をあげるという悪循環に陥るケースも珍しくない。お互いのために距離をとったほうがいい。

介護について相談できる人がいないとき

「認知症の症状を一般の人が理解するのは非常に難しい。長いあいだ、混乱し、怒りを覚えたりしたすえに初めて、認知症を受け入れるようになるのです。介護について相談したり、愚痴を言える相手がいればこの過程を乗り越えられますが、孤立無援の場合には介護うつを発症する可能性があります」(医師の杉山孝博氏)

ふたりだけでは、もたない

一方で、認知症患者にこんな変化が表れた場合にも、入所を検討するタイミングだ。

徘徊がとまらないとき

徘徊した認知症患者が事故に巻き込まれることもある。その場合には、家族にも責任追及の矛先が向きかねない。

万引きなど、迷惑行為を続けるとき

認知症の人を叱っても迷惑行為をやめさせることは難しい。かといって24時間見張ることも現実的には不可能だ。

こうした事態に思い当たるならば、無理せず介護を他人の手に委ねることが、最悪の事態を避ける最適な手段となる。

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