佐藤:どうして私がこうした変わった見方をするかというと、消費増税の実施直後だからです。増税直後というのは、脱税に関する摘発基準が普段よりずっと厳しくなるんです。
邦丸:過去、そうだったんですか。
佐藤:その傾向があります。「増税してうれしい」と思っている国民はいないでしょ。なんで2%上がるんだ、と思っているところに、不正にカネをもらって申告していなかった偉い人がいる、となると、みんなどう思いますか。
そこのところで、特捜が徹底的に脱税の捜査をやれば、世論は「ああ、特捜は頑張っているな。税金逃れをする人は厳しく取り立てて、正義を実現してください」というふうになるじゃないですか。仮に、森友問題で食い込めなかった大阪地検がやるとすると、「大阪地検特捜部は、よくやっている」という話になる。検察官は褒められるのが大好きですから。
邦丸:ふむ。
佐藤:いろんな形でこの問題は派生していくんだけれど、ただ、なぜこの森山さんという人がそういった承認欲求を持ったのか、いったいこの人が本当は何をしていたのかということに関しては、闇のままになるんじゃないですかね。それで、責任は全て関電の幹部が取らされて、みんなが忘れていくのを待つという、こんな流れになるんじゃないかと思っています。ミステリー小説のような世界です。