関西電力幹部は、なぜ「汚れたカネ」を受け取ったのか

関電金品受領事件、謎の深層を読む
佐藤 優 プロフィール

「承認欲求」だったのかもしれない

佐藤:あとは、これは今まで話したことがなかったけれど、新聞記者。政治家は新聞記者にもカネを渡すことがありますし、官僚も新聞記者にカネを渡すことがあります。

邦丸:へえ~。

佐藤:これはどういうことかというと、政治家が記者に何か秘密情報を流すときというのは、だいたい「自分には力がある」ということを示したいときですよね。官僚が流すときには、その政策を推進する記事を書いてほしいか、あるいは潰してほしいかのどちらかなんです。だから、「クルマ代、持っていけ」といった形でカネを掴ませるんですよ。

カネを掴ませれば、お互いに悪事を働いたわけですから、運命共同体になる。で、秘密を守ってくれるわけです。

もし登場人物が普通のサラリーマンとか学校の先生とかだったら、単なるキックバックに見えるかもしれない。でも私は外務省にいたことがあるから、「おカネを取りたくないんだけれど、取らざるを得ない」という局面があるということを知っているので、今回はそういう例だなと見えるわけです。

邦丸: なるほど。

 

佐藤:この助役の人が辞めて以降、どうもこういうことが起きているらしい。というのは、ポストにいるときはその人の力をみんな認めているんですけれど、彼は恐らくポストから外れても、自分は有力者だということを見せつけたかった。そのためには、相手を悪事に引きずり込んで運命共同体にする。そうすれば、いつまでも言うことを聞くし、自分を軽く見ない──こういう思惑があったんじゃないか、と推定できるんですよ。

邦丸:今日、放送前の打ち合わせのときに、佐藤さんは「承認欲求」と言っていましたね。

佐藤:そう、一種の承認欲求じゃないかと思うんです。

だから、関電幹部はおカネが欲しかったとか、この助役の人は仕事を回してほしくておカネを回していた、という風に見ると、事柄の本質を見誤るんじゃないか。特に、人間って──これは政治家でも官僚でも同じなんですけれど、ポストを外れて年齢を重ねていくと、承認欲求が肥大する人が非常に多いんです。そっちの切り口なんじゃないかなと。