「日本のアニメ」にヨーロッパの人が惹かれる理由

米アニメにはない“さりげなさ”
此花 わか プロフィール

日英が抱える「アニメの吹き替え」問題

――ちょっと意地悪な質問になりますが、『レッドタートル』は人間の生死や自然界の“命の輪”を描いた傑作としてヨーロッパの数々の映画賞を受賞しました。にもかかわらず、日本での興行成績はあまり振るわなかった。なぜだと思いますか?

ウィリアムズ:『レッドタートル』は非常にユニークでしたが、分かりやすい物語ではありませんでしたしね。ただ、自然や人間の命に対しあれほどの“哀れみ”や“慈しみ”が表現された作品も珍しく、あの美しい作品に関わることができたのは本当に光栄だと思います。

ヨーロッパの作品はパブリシティやプロモーションでアメリカの大作には対抗できません。アメリカのアニメの宣伝費は製作費と同じかそれ以上だと言われているんです。

 

――たしかに、宣伝費の違いは大きいですね。ただ、ヨーロッパと日本のアニメは物語性や人物描写において共通するものがあるのに、なぜ日本でヨーロッパのアニメはヒットしないのでしょう?

ウィリアムズ:まず、言葉の問題があるのかもしれませんね。イギリスでは日本やフランスのアニメは英語の吹き替えにしないと多くの人が観に行きません。ところが、フランス、スペイン、ベルギーなどの国では吹き替えがなくとも外国語のアニメを多くの人が観に行きます。なぜなら、これらの国々の人々はイギリス人よりも様々な言語に普段から触れているから。日本もイギリスのように島国なので、同じことが当てはまるのではないでしょうか

『トイ・ストーリー』などのアメリカのアニメは大きな売上を見込めることから必ず吹き替え版ができますが、ヨーロッパの小さなアニメには吹替版は作られないので、客足が遠のいているのかもしれません。