トランプ退陣はムリ? アメリカ版「森友・加計問題」のショボい結末

「ウクライナ疑惑」の趨勢を読む

「ウクライナ疑惑」とは何か?

米国のトランプ大統領が議会下院で弾劾訴追されそうな気配である。ウクライナの大統領に対して「軍事援助の見返りに、政敵のスキャンダルを調査するよう圧力をかけたかどうか」が焦点だ。ただ、現時点では「大統領のクロ」が証明されたとは言えない。

ウクライナ疑惑とは、どんな話なのか。

 

発端は、内部告発だった。ホワイトハウスで働くCIA職員と目される人物が8月、情報機関の監察官に対して「トランプ大統領がウクライナのゼレンスキー大統領に電話し、民主党のバイデン前副大統領とその息子の疑惑を調査するよう求めた」と告発した。

舞台裏では、トランプ氏が直前にウクライナに対する軍事援助を停止していたので「軍事援助とバイデン氏に対する調査を引き換えにする取引をしようとしたのではないか」というのが、疑惑の核心である。

これをワシントン・ポスト紙が特ダネとして報じると、疑惑に火がついた。下院情報委員会は監察官から事情聴取し、民主党のペロシ下院議長は9月24日、トランプ氏の弾劾に向けて正式な調査開始を宣言した。

すると、大統領は翌25日、問題とされた電話会談の記録を公開し「これを見れば、何も問題がないことが分かるだろう。私は誰にも圧力をかけていない。完全なデッチ上げだ」と反撃に出た。5ページにわたる電話記録は、一言一句そのままではないとされるが、それでも十分に詳細である(https://www.nytimes.com/interactive/2019/09/25/us/politics/trump-ukraine-transcript.html?action=click&module=STYLN_trump_suite&variant=1_trump_suite&state=default&pgtype=Article&region=footer&context=guide)。

いったい、何が話されたのか。記録によれば、トランプ氏はゼレンスキー氏に対して「米国はウクライナに非常に良くしてきた。必ずしも相互的だったとは言わない。なぜなら、良くない事も起きている。だが、米国は良いことをたくさんしてきた」と述べた。

そのうえで「あなたにお願いがある。米国でいろいろな事が起きていたが、ウクライナは知っているはずだ。司法長官に電話させるから、徹底的に調査してもらいたい」と調査を求めた。さらに、トランプ氏の私的法律顧問であるジュリアーニ氏(元ニューヨーク市長)とも協力するよう要請した。

トランプ氏は、2016年の大統領選の最中、民主党全国委員会のサーバーがハッキングされた事件にウクライナが絡んでいるのではないかとみていた。この件を含めて「ロシア疑惑」全体の捜査が適切だったかどうか、ジュリアーニ氏を使って調べようとしたのだ。