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出生数90万人割れ…まず優遇すべきは「20代の子育て世帯」です

『未来の年表』著者が考える対策
今年の出生数が「90万人割れ」という見込みが世間をにぎわせている。団塊ジュニア世代が40代後半になり、出産期の女性が減った要因が大きいが、2016年に100万人を下回ってからわずか3年で90万人を割る異常事態である。累計77万部突破『未来の年表』シリーズ、『未来の地図帳』著者でジャーナリストの河合雅司氏が、深刻な人口減少への対策を考えた。

2年も早く、出生数80万人台へ

日本の少子化が深刻だ。年間出生数が早くも90万人を割り込みそうなのである。

厚生労働省が毎月発表している人口動態統計速報によれば、今年1~7月までの出生数は51万8590万人だ。これは前年の同期間と比較して3万2471人、率にして5.9%もの減少である。

仮に8月以降もこのペースで行ったとするならば、年間出生数は88万9000人程にとどまる計算である。

 

ちなみに、国立社会保障・人口問題研究所が2017年に公表した推計では2019年は92万1000人であった。90万人を下回るのは2021年(88万6000人)と見込んでおり、2年も早い80万人台突入となりそうだ。

当然ながら、状況の改善が望まれるが、今後、出生数の減少に歯止めがかかる可能性は極めて小さい。過去の少子化の影響で、そもそも子供を産むことのできる年齢の女性数が激減してしまうからである。そうでなくとも晩婚や晩産が進んでおり、子育て世帯の45.4%は子供が1人しかいない。

いまさら子供を出産できる年齢の女性数を増やせるわけでもないので、これからの政策としては、晩産化対策に力点を置き、人口減少スピードを少しでも遅くすることである。

具体的には、20代で出産する人を重点的に支援することだ。かつてのように20代で結婚・出産する人が多くなったならば、第2子、第3子をもうけようという夫婦も増えることだろう。

20代での出産を支援すれば複数の子供も(photo by iStock)

社会全体で子育て支援を

例えば、20代で子育てをしている世帯には税制優遇や児童手当の加算といった「優遇策」を講じることだ。

企業などの協力も得て、新幹線やイベントのチケットを1日早く予約できるなどといったインセンティブがあってもよい。テレワークなど「通勤しなくてもよい働き方」が当たり前となり、子育てしながらキャリアアップできるような仕組みを普及させていくことも必要である。

そして何よりも重要なのは、こうした政策の展開によって、「若くして子育てをする世帯を応援しよう」という雰囲気が社会全体に広がっていくことである。

もちろん、結婚も出産も本人の意思である。政策はあくまで「したいのに、できない」という個々人の希望に寄り添う形で進めなければならない。

ただし、こうした「優遇策」を講じるにしても、あまり時間的余裕があるわけではない。それはなぜか。