2019.10.13
# 立ち読み

体験ギフトで感動を! 「STAR分析」が明かすビジネスの秘訣

「ソウ・エクスペリエンス」の戦略とは
前野 隆司 プロフィール

西村さんは、「ギフトというものは他者へ介入していくものだ」と言います。それは物でも体験でも同様です。

ただし、体験ギフトは物ギフトと比べ、感動体験の「きっかけ」になりやすいのではないでしょうか。

自分だけでは、あえてお金と時間を捻出してまで、どこかへ行ったり、何か新しいことにチャレンジしたりするのは難しい場合もあります。ところが、ギフトとして受け取ると、それがきっかけとなって、新しい何かにチャレンジしたり、「やってみよう」と思う前向きな気持ちが芽生えるのです。

繰り返しになりますが、幸福学の研究においては、物を買うよりも、体験することのほうが幸福度が高まるというデータがあります。単に物を買うときにも、購入しようとする物自体に、特別なストーリーや、体験的要素を求める人が増えていると言われています。

「体験ギフトには、ストーリーが生まれやすい要素がいくつかあると思うんです。
まず、贈られたとき。ここでは贈った人と贈られた人、それぞれのストーリーが生まれます。

次は、何を体験するのか、選ぶ過程です。一人で体験するのか、誰かと体験するのか、何を体験するのか、といったストーリーが生まれます。

次に、実際に体験をしたときです。体験先の人との出会いや、体験したことで感じる感覚など、僕たちにも読めないような、多くの物事が複雑に絡み合い、また別のストーリーが生まれるのです。

今後は、単に体験を商品として扱うだけでなく、体験そのものを自分たちで創っていきたいと考えています」

 

体験ギフトを「STAR分析」してみたら

それでは、「体験を贈る」という行為、そしてそれを受け取り、体験するという過程のそれぞれには、どのような感動ポイントがあるのでしょうか。

「STAR分析」[感動経験を、「SENSE:五感で感じて感動」「THINK:頭で考えて〈知見の拡大〉に感動」「ACT:動きや変化による〈体験の拡大〉への感動」「RELATE:人や物へのつながりに基づく〈関係性の拡大〉への感動」の4つのモジュールから分析する、著者独自の手法]を用いて分析してみましょう。

■贈る側
S:パッケージの装飾や、体験ギフトのカタログのおしゃれなデザイン
T:相手が「どんな体験をするのだろう」「どんな体験だったら喜ぶのか」と考える
A:実際に相手に贈り、贈った相手のリアクションを得る
R:体験そのものとの関係。贈り主との関係性
■贈られた側
S:贈られた体験の光景を想像する
T:どんな体験をしようか、どの体験が自分に合っているかについて考える
A:実際に体験してみる
R:体験先で出会った人と、同じ体験をした人の関係性が生まれる。贈り主との関係性が深まる

「モノを贈り、贈られる」ことで生まれるストーリーに比べ、「体験する」という行為を挟むだけで、感動ポイントが大幅に増えると考えられます。

とくに、THINK の部分は、モノを贈る場合よりも「体験をしたらどう感じるだろう」と想像しやすいのではないかと思います。

また、 ACTも、モノをもらうだけのACTと比べ、 ACTそのもののインパクトが大きくなるでしょう。

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