サウジアラビアで9月14日に発生した、ドローンと巡航ミサイルによる石油施設攻撃事件が、欧米の軍事専門家たちの間に激震をもたらしている。
サウジアラビアの防空網は、比較的高性能の西側のレーダー網である。つまり、サウジアラビアに対して行われた攻撃は、日本を含む西側諸国に対しても同様に有効だということになる。
特に、未だに対ドローン専用レーダーの導入を遅々として行わず、しかも、北東アジアでは唯一武装ドローンを保有しない日本にとっては、最悪の事態である。サウジの所有するレーダーには、わが国が保有するそれよりもドローンを捕捉しやすいものがあったにもかかわらず、迎撃することができなかったのだから。
サウジアラビアの一件が示すこと。それは、日本は有事の際に中国・韓国・北朝鮮からの「自爆ドローン攻撃」をまったく把握できないまま、数千億円のイージスアショアも、一機100億円以上のF-35戦闘機も、離島防衛の切り札である12式地対艦ミサイルも役に立たず、大破炎上する可能性が高い──戦わずして、ドローンによって壊滅しかねないということだ。
サウジアラビアの防空網は強力である。同国が誇る防空レーダーは、確認できた範囲では以下のとおりである。
旧式のレーダーも交じってはいるが、これらの機器はサウジ軍の統合システムPeace Shield Projectによって、サウジ軍のAWACS(早期警戒機)やその他の無線とも統合運用されているうえに、システムのアップグレードも繰り返されているという。
2010年の情報ではあるが、これらの地対空レーダーは下図のように展開されていたという。まさに、サウジアラビア全土を覆っていたと言ってよい。
しかし今回の攻撃では、こうした多重のレーダー網と防空システムをドローンが見事に突破して、石油プラントに大打撃を与えたのである。しかも、攻撃後の写真を見る限りでは、誤差10m以下の精密誘導であった。