サウジアラビア政府軍が公表した、攻撃に使用されたと見られるドローンの残骸(Photo by gettyimages)

日本は壊滅必至 ついに始まる「ドローン戦争」の恐怖を認識せよ

高価な兵器も、全て無力化されかねない

イージス・アショアもF-35も役に立たない

サウジアラビアで9月14日に発生した、ドローンと巡航ミサイルによる石油施設攻撃事件が、欧米の軍事専門家たちの間に激震をもたらしている。

サウジアラビアの防空網は、比較的高性能の西側のレーダー網である。つまり、サウジアラビアに対して行われた攻撃は、日本を含む西側諸国に対しても同様に有効だということになる。

攻撃を受けた石油施設(Photo by gettyimages)

特に、未だに対ドローン専用レーダーの導入を遅々として行わず、しかも、北東アジアでは唯一武装ドローンを保有しない日本にとっては、最悪の事態である。サウジの所有するレーダーには、わが国が保有するそれよりもドローンを捕捉しやすいものがあったにもかかわらず、迎撃することができなかったのだから。

サウジアラビアの一件が示すこと。それは、日本は有事の際に中国・韓国・北朝鮮からの「自爆ドローン攻撃」をまったく把握できないまま、数千億円のイージスアショアも、一機100億円以上のF-35戦闘機も、離島防衛の切り札である12式地対艦ミサイルも役に立たず、大破炎上する可能性が高い──戦わずして、ドローンによって壊滅しかねないということだ。

 

強靭なレーダー網が突破された

サウジアラビアの防空網は強力である。同国が誇る防空レーダーは、確認できた範囲では以下のとおりである。

〈X-Tar 3D 9台〉
独ラインメタル社が開発した最新の三次元レーダー。従来の航空機だけでなく、低空に侵入する無人機、ステルス機、巡航ミサイルに対して最適化されているとされる。最大55km先の標的まで把握可能。

〈パトリオットミサイル用レーダー(AN/MPQ-53、65)〉
日本も大量に導入している、パトリオットミサイル専用の多目的フェーズドアレイレーダー。目標の捜索からミサイルの誘導まで行えるレーダーである。探知距離は53型が170km、65型が100kmであるが、いずれもレーダーのカバー範囲が120度しかない。

〈AN/FPS-117(AN/TPS-77) 17台〉
ロッキードマーチン社製の長距離三次元レーダーで、フェーズドアレイレーダーをアンテナに搭載する。1980年代に開発された。探知距離は最大で約470km。航空自衛隊も同級機のJ/FPS-2を根室、稚内、山田、御前崎、海栗島に配備中。

〈AN/TPS-70 8台〉
ウェスティングハウス社(現ノースロップグラマン社)製の移動可能な三次元レーダー。こちらもフェーズドアレイレーダーを採用。500個の目標を追尾可能であり、戦術弾道ミサイルの把握に特化している。探知距離は約450kmほどで、ジャミングに強いとされる。

〈AN/TPS-43 28台〉
1968年に米空軍に配備されたウェスティングハウス社(現ノースロップグラマン社)製の移動可能な三次元レーダー。上記の70はこの後継機。探知距離は320km。

〈AN/TPS-63 28~35台〉
ノースロップ・グラマン社製の、低高度に特化し、航空管制業務にも使用される探知距離約250kmの対空レーダー。

旧式のレーダーも交じってはいるが、これらの機器はサウジ軍の統合システムPeace Shield Projectによって、サウジ軍のAWACS(早期警戒機)やその他の無線とも統合運用されているうえに、システムのアップグレードも繰り返されているという。

2010年の情報ではあるが、これらの地対空レーダーは下図のように展開されていたという。まさに、サウジアラビア全土を覆っていたと言ってよい。

出典:The Saudi Arabian SAM Network

しかし今回の攻撃では、こうした多重のレーダー網と防空システムをドローンが見事に突破して、石油プラントに大打撃を与えたのである。しかも、攻撃後の写真を見る限りでは、誤差10m以下の精密誘導であった。

出典:This is How Iran Bombed Saudi Arabia [PRELIMINARY ASSESSMENT]
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