北朝鮮の違法漁船対策で、初の「無人機」導入へ…海上保安庁の選択

適正な機種選定はできるのか?
半田 滋 プロフィール

増える漂着船

「大和堆」は日本の排他的経済水域にあり、他国の船舶が漁業などの経済活動をすることは認められていない。海上保安庁ばかりでなく、水産庁も違法操業を繰り返す北朝鮮漁船の取り締まりを続けている。

衝突事故の他にも、今年8月には「大和堆」で海上保安庁の巡視船に北朝鮮公船とみられる小型高速船が急接近し、小型船の船員が巡視船に小銃を向け、一触即発の事態になりかねない場面もあった。「大和堆」は、いつ日朝が衝突してもおかしくない緊迫した海域なのだ。

 

当然ながら、日本政府の取り締まりには力が入る。海上保安庁が2017年に退去警告したのは1923隻で、うち放水したのは314隻。2018年は1624隻で放水513隻、本年は10月4日までに1011隻で放水188隻となっている。

放水とは、退去警告に従わない漁船に対して海水を浴びせること。北朝鮮の小型漁船には獲ったスルメイカを保存する設備がなく、物干し竿に掛けるようにして日干しにしている。日干しになったスルメイカは、海水を浴びると売り物にならなくなる。海上保安庁は「無駄な操業はやめろ」とばかりに実力行使しているのだ。

違法操業の漁船に放水する海上保安庁の取締船(海上保安庁提供)

問題は、日本側の懸命な取り締まりにもかかわらず、すべての密漁船を捕捉できない点にある。

転覆したり、燃料切れとなったりして日本に漂着する北朝鮮の木造船は、2015年に45件だったが、年々増え続け、2018年には225件にもなった(下記グラフ参照)。

漂流船の中に遺体があることも珍しくなく、2017年は10隻から35人の遺体が見つかり、5隻で42人の生存者も確認された。

同年の11月には北海道松前町の無人島「松前小島」に漂着した北朝鮮漁船の乗組員が、松前さくら漁協の避難小屋から発電機などを盗み、船長ら3人が北海道警に逮捕され、乗員6人が海上保安庁に引き渡される事件が起きている。

こうした事件や漂着船の増加は、海上保安庁の巡視船や航空機が、日本に接近してくる北朝鮮の漁船を完全には掌握できていないことを意味する。

関連記事