無人機「ガーディアン」(ジェネラル・アトミクス社HPより)

北朝鮮の違法漁船対策で、初の「無人機」導入へ…海上保安庁の選択

適正な機種選定はできるのか?

「最良の漁場」が狙われている

日本海に出没する北朝鮮の違法操業漁船の監視を強めようと、海上保安庁は2020年度予算案の概算要求で、大型無人航空機(無人機)の導入へ向けた飛行実証経費9億7000万円を盛り込んだ。

海上保安庁が無人機導入を検討するのは初めて。米軍が、中東でテロリスト攻撃に活用しているような無人機の「民間バージョン」を導入したい考えだ。それだけ違法漁船対策に手を焼いているのである。

北朝鮮の漁船は、日本海最良の漁場といわれる能登半島沖の「大和堆(やまとたい)」に現れ、イカの中でも一番人気があり、消費も多いスルメイカを狙う。海上保安庁はこれらの漁船を見つけ次第、排他的経済水域から追い出しているが、監視の目をかいくぐり、また戻って違法操業を続けるといったイタチごっこが続いている。

7日には水産庁の漁業取締船と北朝鮮の漁船が「大和堆」で衝突し、漁船は沈没、乗組員約60人が海に投げ出される事故が起きた。無人機は、こうした違法漁船を取り締まる「切り札」になるのか。

 

日本海には、能登半島西方沖の「大和堆」、北海道西方沖の「武蔵堆(むさしたい)」という二大漁場がある。旧日本海軍の巨大戦艦と同名だが、戦前に行われた海洋調査で海底の隆起部を発見した測量船「大和」「武蔵」にちなんで名付けられた。

日本海中央部の水深は約2000mと深いが、その中で「大和堆」「武蔵堆」は台地のように盛り上がり、浅くなっている。海流が押し上げられて流れが変わり、魚の餌となるプランクトンが集まることから絶好の漁場となっている。

日本海中央の浅くなっている部分が「大和堆」

一方、北朝鮮にとって、農林水産業が国内経済に占める割合は2割と高く、海産物は重要な収入源だ。金正恩朝鮮労働党委員長は2014年1月の「新年の辞」の中で「漁獲戦闘」を打ち出し、漁業を国家の最重要課題と位置づけた。

しかし、北朝鮮は自国沿岸にある漁場の漁業権を中国に売り渡してしまっており、沿岸での操業は不可能。定められた漁獲量、いわゆるノルマを達成するため、北朝鮮の漁船は2016年秋ごろから「大和堆」にまで遠征するようになった。

海上保安庁によると、北朝鮮の漁船が「大和堆」に出没するのは、毎年5月下旬から12月上旬まで。保存の効くスルメイカを狙って、本来なら沿岸漁業にしか使えないような小型木造船ではるばるやってくる。

石川県羽咋郡に漂着した北朝鮮のものと思われる漁船