祝ノーベル化学賞 吉野博士が語ったリチウムイオン電池の本当の凄さ

その市場規模は3兆円以上
現代ビジネス編集部 プロフィール

環境面でも大きな貢献を果たした

それまでの充電式電池の主流は、ニッケル・カドミウム蓄電池やニッケル水素電池など。これらの電池は、最後まで放電してから充電をしないと、次第に電池の容量が減ってしまう問題があった。

昔の電池は何回か充電すると、すぐに電池の持ちが悪くなるという経験に心当たりがある人もいるだろう。これは「メモリー効果」が原因なのだが、リチウムイオン電池ではその影響を受けない。つまり「継ぎ足し充電」を可能にしたのだ。

また、繰り返し使える「二次電池」であることも、環境面ではインパクトが大きい。長い間、電池といえば使い捨ての乾電池(一次電池)が当たり前で、希少な金属が含まれる電池をそのつど廃棄することを問題視する声も少なくなかった。しかし、リチウムイオン電池はその課題も解決。現在ではクリーンエネルギー技術の主役として、世界中から脚光を浴びているのだ。

座右の銘は「実るほど頭を垂れる稲穂かな」。温厚で誠実な性格の科学者だ。座右の銘は「実るほど頭を垂れる稲穂かな」。温厚で謙虚な科学者だ。

いまやその市場規模は3兆円以上ともいわれるリチウムイオン電池。しかも、今後さらに需要は増えていくだろうと吉野氏本人は語る。

 

「現在の主なマーケットはモバイル機器ですが、ドローンや電気自動車のバッテリーとして普及していけば、更に需要が高まるかもしれません。そうやって大容量のリチウムイオン二次電池が世の中に認められ始めたら、次は大型蓄電システムにも使われるかもしれない。まだまだ発展が望める技術なんです」(吉野氏)

ダイナマイトの開発者アルフレッド・ノーベルによって創設されたノーベル賞は「人類のために最大限貢献した人」に与えられることになっている。その定義からいえば、IT社会の現代において、吉野氏以上にノーベル賞にふさわしい科学者はいないのかもしれない。