祝ノーベル化学賞 吉野博士が語ったリチウムイオン電池の本当の凄さ

その市場規模は3兆円以上

繰り返し使っても「性能が落ちない」電池

2019年のノーベル化学賞に、旭化成名誉フェローの吉野彰氏(71)ら3人が選ばれた。授賞理由は「リチウムイオン電池の開発」。日本人の化学賞受賞は9年ぶりの快挙だ。

ノーベル賞化学賞を受賞した吉野彰氏/撮影:高山浩数ノーベル化学賞を受賞した吉野彰氏/撮影:高山浩数

「リチウムイオン電池」の始まりは1970年代に遡る。今回、吉野氏と共同受賞した米ニューヨーク州立大学ビンガムトン校(当時はエクソン所属)のマイケル・スタンリー・ウィッティンガム教授が、初めて電極にリチウムを使用した電池を開発した。しかし、反応が不安定なため実用化には至らなかった。

その後、共同受賞した米テキサス大学(当時はオックスフォード大学)のジョン・グッドイナフ教授が、1980年にコバルト酸リチウムを素材にした電池の正極を開発。

さらに、旭化成の研究員だった吉野氏が電気を通すプラスチック「ポリアセチレン」が負極側の素材に適していることを突き止めた。最終的に吉野氏は炭素素材を用いた負極を開発し、1985年ごろに、いまの「リチウムイオン電池」の原型ができあがった。

 

リチウムイオン電池が爆発的に普及するようになったキッカケの一つが1995年の「Windows95」の発売だ。パソコンが一家に一台置かれるようになり、それを機にノートパソコンや携帯電話などのIT機器の開発が活発化。とくに小型で安全なバッテリーの需要が高まり、リチウムイオン電池に注目が集まったのだ。

では、リチウムイオン電池の何がすごいのか。2016年の週刊現代の取材で、吉野氏本人はその特徴を次のように話していた。

「現在、スマホやノートパソコンなどのバッテリーに使われているのが、リチウムイオン二次電池です。二次電池とは、繰り返し充電して使える電池のこと。他の二次電池は、最後まで使い切ってから再充電しないと、次から電圧が下がってしまう『メモリー効果』の問題がありますが、この電池ではその影響はほぼありません」