冊子を作るより根本的な解決策を

最後に、今後のことを考えましょう。

今回のいじめ問題を受け、教育委員会や文部科学省は教員いじめの再発防止策にと、教員に渡す冊子を作ったり、研修を実施したり、管理職へ通達することで管理を強めようとしたりすることでしょう。これまでも、何か問題が起こると、そのようなことを何億ものお金と時間と労力をかけてやってきました。しかし、そのほとんどの施策は効果的に機能せず、問題は闇に葬られているように感じます。

では、どうするか。

ぼくは、職員室というブラックボックスを解体すべきだと思います。風通しが悪いから、何も変化が起きず、問題は半永久的に先送りされる。

したがって、解体する方法のひとつとして、多くの人の目を職員室内に入れることだと思っています。ブラックボックスができる原因の多くは、特定の人間が一つの組織、場所に長く居座り続けることです。学校という、本来風通しをよくしておくべき組織でありながら、自分たちの都合に合わせて物事が進められる。そういった環境こそが、取り除かれなければなりません。

そのためには、教員免許を持たなくても学校で授業ができるシステムを確立してほしいのです。そもそも、教員免許は何を保証しているものでしょうか。今回のような教員いじめや生徒いじめは、大事件にならないだけで次々起きています。服務違反や事故、セクハラやパワハラも同様です。学校の教員たちの不祥事が新聞やテレビを賑わせますが、その加害者となった教員たちはみんな、教員免許を持っているのです

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教員免許という参入障壁がなければ、多くの人たちが活躍できる場になります。そして、さらには、健全で新鮮な空気が学校、職員室内を常に循環することになります。ダイバーシティ(多様性)を伝えるという教育目標を掲げるのなら、せめて限った授業に特化したり、授業でない部分の学校経営についてだけでも門戸を開放してはどうでしょう。

民間企業を定年退職した部長さん、海外赴任が長かったサラリーマン、さまざまなボランティアをやって来たお母さんたち、教員を目指す大学院生。さまざまな人たちが学校に入ってくることで、一気に風通しがよくなります。人財が還流することが、一番の課題解決策。それには、教員免許という印籠は必要ありません。

それが少しずつ実現していけば、ブラックボックスは解体され、真のコミュニティスクールになることができます。

今からすぐにできること

ただ、大きな制度改革の前に、今からでもできることはあります。私が勤務した小学校では、よく地域の方やお父さんお母さんが学校に来ては、職員室、校長室で教員たちと一緒になって行事について互いに考える機会がありました。夜遅くまで職員室で仕事をしていると、ふらっと立ち寄っては「遅くまで仕事しているね。なんか手伝おうか?」と声をかけてくれることがよくありました。とても温かく、そして心強い仲間でした。

地震や水害など、自然災害に向けて地域が一つになるとき、小学校は大きなメインステーションになります。日ごろからさまざまな人たちが出入りすることは、大きなメリットがあるはずです。

子どもたちが安心して安全に学ぶことのできる場所、そこが学校のはず。しかし、学ばせる教員が辛い思いをしていて、それは実現できない Photo by iStock

(構成/島沢優子)

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