神戸市の小学校で、教員間で、暴言・暴力などのいじめ行為や、性的な嫌がらせなどのハラスメント行為が相次いでいたことが報じられています。30~40代の教員4人が、20代の教員を羽交い締めにして激辛カレーを食べさせたり、同僚の女性教員にわいせつLINEを送れと強要。ほかにも20代の教員3人が被害に遭ったことも発覚しました。一体なぜこのようなことが起きたのでしょうか。

公立小学校に13年勤め、「型破り教師」として話題となった森田太郎さんに毎月第2、第4月曜公開しているFRaU Webでの連載ですが、急遽予定を変更し、教員を取り巻く環境の実態とどうすれば改善できるのかを提案してもらいました。

タロー通信/風のとびら」今までの連載はこちら

生徒の前でも否定された教員

子どもたちに「いじめはしてはいけない」と指導する立場の教員が、なぜ――? そう驚かれた方もいらっしゃるかもしれません。でも、ぼく自身、驚きはありません。氷山の一角が出ただけのことだと感じています。なぜならば、10年間の教員生活で、似たような話をたくさん見聞きしてきたからです。

互いに「先生」と呼び合う学校ですが、実は中身は階層社会です。校長や副校長、主幹といった管理職やベテランの教員が、若手教員に対し抑圧的にふるまうことも珍しくありません。もちろん、ぼくの元上司だった校長のように尊敬できる人物もいますが、自分の肩書きを武器にする「位置(役職)エネルギー」で動く人もいるのです。

管理職だけではありません。神戸の一件のように、リーダー的存在の教員による若手への嫌がらせや、指導という名目で理不尽な要求をしてくるケースは多いと思われます。

友人の教員が転任した先には、学校を牛耳っているベテランの教員がいました。そのがやってきたことと違うことをすると、強烈ないじめが始まります。子どもたちの実態に合わせて様々な挑戦をし、トライ&エラーを繰り返しながら、子どもたちによりよい教材や授業を提供するという当たり前が許されないのです。

そのベテランの教員は、必要もないのに、常に友人の教室に来ては、険しい顔で授業を観察し、強烈な剣幕で授業内容を否定するのです。それは、職員室内にとどまらず、時には、子どものいる前で声を荒げたことも少なくなかったそうです。

職場で大勢の前で聞こえるように否定されることは辛い。いわんや教え子の前で他の教員から否定されると……(写真の人物は本文と関係がありません)Photo by iStock

そのため、子どもたちも自分たちの担任がいじめられていることに気づいていました。子どもたちから「先生、◯◯先生にいじめられているでしょう」とか「みんなそうだから、先生も頑張ってね」と言われたそうです。

「子どもは鋭いよ。1年間よく耐えたと思う」

友人はそう話していましたが、彼のように自分の力で乗り越えられる教員は非常にまれです。

もうひとつは、ぼくと同じタイミングで初任者として東京都の教員になった仲間の話。その彼は、新人育成を担当する指導教官の先生に恵まれませんでした。「子どもたちの主体性を大切にする指導」を大切に考えていた彼は、自分のやり方に徹底的に合わせるように強要する指導教官とは考えが合わなかったのです。学年を共に組む間柄でもありますから、ここの歯車が狂うと精神的に追い詰められていきます。

本来、新人の育成に関わるべき管理職を含む職場の多くの教員たちが助言や手だてを講じることもなく、彼は2学期の途中に休職となり、退職していきました。夢にまでみた教員生活が、わずか半年で終わったのです。