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将来、日本が「パックス・シニカ=中国の平和」に呑まれるヤバイ可能性

元外務省情報調査局長が36年前に警告

ある優れた外交官の洞察

外務省情報調査局長、サウジアラビア大使などを歴任した岡崎久彦氏(1930~2014年)は、戦略的視点を持った優れた外交官だった。評者は、1994年にモスクワで岡崎氏と初めて会った。

モスクワ「赤の広場」(Photo by iStock)

岡崎氏は既に外務省を退官し、文化人交流プログラムでロシアを訪問した。当時、エリツィン政権の戦略策定に大きな影響を与えていたブルブリス国家院(下院)議員との会談の通訳兼記録係を評者がつとめた。

そこから縁ができ、'95年4月に東京の外務省国際情報局で勤務してからも岡崎氏が主宰する研究会にときどき呼ばれ、ロシア情勢やインテリジェンス・コミュニティーの状況について話をした。

 

岡崎氏は、評者だけでなく、情報のセンスがある若手にていねいな指導をしていた。人材を育成することが外交力の強化になると言う外務省OBはたくさんいるが、実際にきめ細かな指導をしてくれたのは岡崎氏だけだった。

'02年、鈴木宗男事件に評者が連座し、東京地方検察庁特別捜査部によって逮捕されたとき、現役時代に親しい関係にあった一部のOB大使は評者を名指しで非難し、大多数のOB大使が「佐藤優など知らない」という態度を取った。そのとき、岡崎氏は、「佐藤君は情報・分析の専門家としてしっかりしている」と擁護してくれた。

評者が'05年3月に著書『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』を出版した直後、虎ノ門の交差点で「佐藤優君じゃないか」と背後から声をかけられた。振り向くと岡崎氏だった。

「君の本を読んだよ。よく書けている。それから、新聞や雑誌に掲載された君のインタビューや寄稿も読んだが、論壇で十分やっていけるよ」と言われた。