今後ビジネスパーソンに絶対必要になる「最注目スキル&思考法」

破壊的変化の時代を生き抜くために
田川 欣哉 プロフィール

イノベーションの歴史的背景

ここで人類のイノベーションの系譜をおさらいしておきましょう。

人間は原始の時代から、道具を作る技術(テクノロジー)を少しずつ獲得し、それらを巧みに組み合わせて、より複雑なテクノロジーを生み出してきました。その結果、人々の生活様式は一変しましたが、そのあいだ、人間が生物的に進化したかというと、我々の身体自体には大きな変化は起きていません。生物的進化は数万年といった大きな時間単位でしか起こらないからです。つまり、人類の進歩の歴史は、身体の進化ではなくイノベーションの積み重ねの歴史です。

ではこれからの時代において、世界ではどのような領域でイノベーションが起きるのでしょうか。少し、歴史を振り返りながら俯瞰してみましょう(図2)。

【第1次産業革命(機械の時代)=第1世代ビジネス】

テクノロジーが人々の生活を短期間に変容させる最初のきっかけとなったのは、第一次産業革命による「機械化」です。その中心となったのはヨーロッパ。機械化のおかげで大量生産が可能になり、生産機械、蒸気機関車、蒸気船、自動車といったハードウェアがこぞって開発されたのもこの時代です。人々の生活様式を一変させる大変革となりました。

【第2次産業革命(電気の時代)=第2世代ビジネス】

次に起きた大きな変化が第2次産業革命。電力と電子の時代です。

第一次大戦と第二次大戦のあいだあたりから、エジソン、ベル、テスラ、ショックレーなどの名だたる科学者がアメリカの地で電力、電子の分野で発明の山を築きます。その結果、エレクトロニクスを活用した制御技術が一気に進化しました。

日本はその民生化の波に乗った国です。安い労働力と円安の二大ボーナスを追い風に日本はモノづくり大国となりました。しかも日本はハードウェアとエレクトロニクスのハイブリッド化であるメカトロニクスでうまく付加価値をつけることに成功し、圧倒的な製品力とコストパフォーマンスで世界を席巻しました。これが第2世代ビジネスです。いまだに日本はメカトロニクスが強い国です。

【第3次産業革命(コンピュータの時代)=第3〜5世代ビジネス】

その後、第3次産業革命の到来にともない、イノベーションの場はアメリカに戻りました。ソフトウェア(つまりコンピュータ)がイノベーションの主戦場となったのです。MicrosoftやAppleが生まれたのはこの時代。日本の電気メーカーもコンピュータ市場に参入しましたが、結局ソフトウェアの面でアメリカに勝てませんでした。これを第3世代ビジネスと呼びましょう。

コンピュータの時代に起こった産業構造の変化はめまぐるしいものがあります。

大きな転機となったのはインターネットの普及です。IT技術(ソフトウェア+ネットワーク+サービス)の領域でイノベーションが次々と起き、Google・Amazon・Facebook・Salseforceなどの巨大企業が続々と登場しました。これが第4世代ビジネスです。

その次の第5世代ビジネスでは、スマートフォンを中心に、ハードウェアとソフトウェアの融合が起こりました。潤沢な資金をもとにIT企業がハードを開発するようになったり(Google・Amazonなど)、ハードウェア企業もソフトウェアに力を入れたりするようになりました(Samsungなど)。