10月16日 エーテル麻酔による初の公開手術(1846年)

科学 今日はこんな日

地球のみなさん、こんにちは。毎度おなじみ、ブルーバックスのシンボルキャラクターです。今日も "サイエンス365days" のコーナーをお届けします。

"サイエンス365days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介するコーナーです。

アメリカの歯科医ウィリアム・T・G・モートン(William Thomas Green Morton、1819-1868)らが、エチルエーテル(C2H5OC2H5)使用の麻酔作用の実験を行い、下顎にできた腫瘤の摘出に成功しました。

【写真】W・T・G・モートン
  ウィリアム・T・G・モートン photo by gettyimages

モートンは、マサチューセッツ病院で行われた、自らの師でもある歯科医ホーレス・ウェルズ(Horace Wells、1815-1848)の笑気ガスによる公開麻酔治療を見学しました。ところが、ウェルズの実験は、患者が痛みだして大失敗に終わってしまいます。

見学していたモートンは、より確実な物質を求め、エーテルに狙いを定めました。医師であり化学者でもあった化学者チャールズ・T・ジャクソン(Charles Thomas Jackson、1805-1880)の助言のもと、臨床も含めて、慎重に研究を重ねました。

【写真】エーテルを自らに使用して効果を確かめるジャクソン
  エーテルを自らに使用して効果を確かめるジャクソン photo by gettyimages

1846年に、外科医ジョン・C・ウォーレン(John Collins Warren、1778-1856)の執刀のもと、モートン自身は麻酔担当に専念し、下顎腫瘍患者の腫瘍摘出を公開手術として、初のエーテル吸入の全身麻酔を行い、成功したのです。

それを機に、エーテルだけでなく、クロロホルムなどによる麻酔も広まりました。さらに麻酔薬の開発、気管内挿管による人工呼吸術の進歩もあって、麻酔下の手術は急速に発達していくことになります。

開発の途中には失敗して患者に大きな痛みを与えた例もあります。また、笑気ガス麻酔を研究したウェルズは、その後も失敗を重ね、度重なる自分自身への試用から精神に変調をきたし、自殺でこの世を去っています。今では医療現場では一般的な麻酔も、多くの犠牲の上での恩恵であることに感謝しなくてはなりませんね。

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