余ったお金がさらに集まる「富の一極集中」が先進国を疲弊させている

戦後75年で進んだ階層の固定化が
大原 浩 プロフィール

中間層が栄えるから国家も発展する

前述のように「金持ちと貧乏人」によって構成される「発展途上国型経済」では、「豊かな国」になれない。厚い中間層が、先進国の経済を支えるのだ。

別に道徳的に正しいとか間違っているというわけではない。経済原理から明らかといえる。

貧困層は毎日の生活がやっとで、いくら新製品が登場しても購入する余裕は無い。逆に富裕層は、欲しいものは基本的にすべて持っていて、世界限定10台のフェラーリなどの特別なものを除いて、新たな消費意欲がほとんどない。収入の多くが、「資産運用」にまわり、金余り現象を強化する。

企業においても、一部の大企業に利益・資金が集中するが、設備投資や先行投資などにはあまり使われず、内部留保として金融商品に投資をすることになり、ここでも余剰資金が供給される。

したがって、それなりの資金と旺盛な需要を持つ、中間層こそが消費のけん引役であり、先進国の基盤なのだが、その中間層が長年ないがしろにされ、疲弊したことが今日の世界経済の大きな問題の1つだ。

 

ドナルド・トランプ氏の登場も、これまで虐げられてきた中間層の反乱の一部といえるであろう。

先進国の消費の中の重要な部分を占める中間層がなぜ疲弊したのか? その大きな原因はグローバル化にある。

独占的グローバル大企業は、世界中のどこでもコストの一番安いところで生産(ソフトウェアーなども含めて)することが可能になった。そのおかげで賃金コストの安い発展途上国のビジネスが発展し、彼らの賃金も上昇した。これは決して悪いことではない。

しかし、逆に先進国の経済の主要部分を占める中間層の仕事が奪われ、賃金も下降した(少なくとも上昇しなかった……)。

日本でほぼ完全雇用が実施されながらも、賃金がなかなか上昇しないのは、グローバル化によって、低コスト労働がいつでも供給されるからだ。

中間層が十分な収入を得ることができないことが「消費低迷」の極めて大きな原因の1つであり、消費が低迷するから中間層の所得が上がらないという悪循環が続いている。

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