# 米国経済

米国「雇用統計」が「思ったより悪くない」は本当か…その意外な真実

「誰が見ても悪い」頃には手遅れ
唐鎌 大輔 プロフィール

明確な「減速」

周知の通り、雇用統計は振れの大きい統計であり遡及改訂は日常茶飯事である。

単月の市場予想と比べて「思ったほど悪くなかった」と安堵するのではなく、「趨勢的にどうなってきているのか」を評価するようにしたい。

上図に示される通り、3か月ないし6か月平均で見たNFPは過去5年で明確に減速してきている。

今年1~9月で創出されたNFPは144.7万人だが、これは過去5年の同時期の雇用創出幅としては最小である。

米経済が創出できる雇用の「量」は徐々に、しかし確実に少なくなっているとの認識が必要である。

 

真っ当に考えれば50年ぶりの低水準に達した失業率は完全雇用状態への接近を意味している可能性が高く、今後、上昇に転じる公算が大きい

一国における「働ける人の数」は決まっているのだから「完全雇用状態を経て減少に至る」こと自体は何ら不思議ではない。米景気の拡大局面は10月で125か月目に突入しており、これまでの過去最長記録(120か月)を更新中である。

かかる状況下、「働きたい人が全員働けている状態」(≒完全雇用状態)に直面し、雇用統計のヘッドラインが徐々に弱くなってくることは必然の展開でもある。

問題はそこまでの状況に至っているのに平均時給が騰勢を強めることなく、むしろ失速の兆候すら出始めていることだ。