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朝8時から仕込んで深夜2時に帰宅…プロレスより過酷なラーメン店経営

それでも君はやるのか?
川田 利明 プロフィール

それでも生ビールを置く理由

こんな俺でも気持ちが折れそうになることはある。

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基本的にお客さんは料理に対してお金を払ってくれるけど、そこにかかっている「手間」に関しては対価を払うという感覚はない。

客席から聞こえてきてショックなのが、「これだったらスーパーで買ってきて、家で食べたほうが安くない?」という感想だ。

いや、たしかにそうだよ。値段だけ比較したら正論かもしれない。

だけど少しでも満足してもらいたくて、俺はとことん手間をかけている。もちろん家賃やら光熱費やらもかかっているわけで、スーパーのお惣菜コーナーの値段と同じにすることは難しいけれど、なにかプラスアルファのサービスをと思って、手間と時間をかけている。大きさからいったら、スーパーよりコスパもいいと思う。

それが報われないことを知って、既製品に切り替えていく経営者も少なくないだろうけど、そうなると、これまでよりもサービスが低下するわけで、その選択肢はちょっと俺には考えられない。もうね、たったひとこと「美味しかった」「ごちそうさま」と言っていただければ、それですべてが報われるんだ。

サービスといえば、ウチの店ではビールサーバーを置いている。

 

何を買えばいいのかわからない状況の時に、メーカーの人に勧められるがままに導入したものだ。まぁ、ラーメンだけでなく、おつまみも出しているから、相乗効果で両方を注文してもらえればいいかな、と。

よく「飲食業はドリンクで儲ける」と言われるけど、それはチューハイやサワーなど、お店側でお酒の濃度をコントロールできる商品の話。サーバーで提供する生ビールは、実はお店にとって、そんなにうまみがないんだ。

大きな誤算だったのが、最初の一杯を綺麗に提供するまでに泡をたくさん捨てなくちゃいけないということだ。あと、サーバーは毎日、洗わなくっちゃいけないから、それも手間がかかる。さらにサーバーの中に残ってしまったビールは捨てることになるから、これらのロスが大きくて、儲けなんて出ません。

本当は缶ビールか瓶ビールとコップを出すのが、もっとも効率がいい。

手間なんてコップを洗うだけだし、缶や瓶ビールだから腐ることもないし、廃棄しなくちゃいけないなんてことも基本的にはない。ラーメン屋さんでは缶ビールや瓶ビールが多いのはそういう理由がある。

でもね、今までサーバーから注いでいたのに、急に缶ビールになったら味気ないでしょ? だから、俺はずっと使い続けている。厳しい経営者だったら、真っ先に削減する部分だろうけど、俺はそこまでドライにはなれない。生ビールのほうが喜んでくれるお客さんも多いからね。

ただ、これは俺のこだわりだけの話。これから起業しようとしている人には缶ビールや瓶ビールでの提供をオススメするよ。