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なぜ中国共産党「だけ」が生き残ったのか? 天安門事件と中国の本質

残念ながら香港の将来は……

1980年代末に他の社会主義国が崩壊したにもかかわらず中国共産党政権が生き残ったのは、経済政策が成功していたからでもあるが、それ以上に、強権政策によって共産党の権威を維持したからだ。ここに中国という国の本質がある。

なぜ中国共産党は生き残ったのか?

1980年代の末に、社会主義国家が大きく揺らいだ。

1989年には、東欧で大きな変化が現実化した。

ポーランド(6月18日)とハンガリー(10月23日)で非共産党政権が成立。11月9日には、ベルリンの壁が崩壊した。12月25日にはルーマニアのチャウシェスク政権が崩壊した。そして、1991年にソ連が崩壊した。

こうして社会主義国が崩壊していく中で、中国共産党政権は生き延びた。なぜ中国が残れたのか?

これに関して、私はこれまで、「それは1970年代末以降の改革開放政策の成功のためだ」と考えていた。

ソ連を始めとする社会主義国家が崩壊したのは、経済運営に失敗したからだ。その当時のソ連の生産性はマイナスになっていた。つまり、工場に持ち込む材料に比べて産出物の価値の方が低いような状況になってしまっていた。これでは国が続くはずがない。

それに対して、中国は、1970年代末以降、目覚ましい成長を続けていた。深圳などでは高層ビルが立ち並び、見違えるほどの変化が生じた 人々は、「明日は今日より豊かになる」と確信できる状態になっていた。

これを実現したのが共産党政権であるから、人々は共産党政権を支持した。

私は、このように考えていた。

もちろん、共産主義と市場経済は矛盾する。そして、共産党独裁体制においては、政治的な自由はない。政治的な意見を言うことも、不満を言うこともできない。

ただし、これは将来変わっていくことが期待されるものだ。

経済的な豊かさの進展にともなって、いずれ政治的な自由化も実現され、複数政党政治に移行するだろう。中国はそうした変化の過程にある。中国の国民も、そのような変化が将来生じることを期待しているのだろう。

私はそのように考えていた。

 

経済成長したのに、民主化しない

しかし、ここ数年の事態を見ると、どうもそれほど簡単ではないと思うようになってきた。

まず第一に、これほど経済が成長し、豊かさが実現したというのに、政治的には、一向に民主化・分権化の動きが見られない。

むしろ、集権化、独裁化の動きの方が目立つ。

第2に、「中国『超先進的電子マネー社会』の光と影 一方、日本は何周も遅れ」で述べたように、AIのためのビッグデータについて、西側諸国では考えられないようなデータの収集と利用が行われている。プライバシーが無視され、新しい管理体制が作られている。

そして第3に、米中経済戦争だ。経済情勢が明白に悪化しているにもかかわらず、中国は屈服せず、対抗措置を取り続けている。そして、貿易赤字とか雇用の増加というような次元の問題ではなく、世界経済の覇権争いとしか考えられない状況になってきている。中国はその国家原理において、譲れないものを持っているようだ。

香港のデモが長期化しているのも気になる。