芝園団地の「見えない壁」をどう乗り越えるのか。
「私たちの団地」という思いは、「私たち(日本人)」対「彼ら(中国人)」という対立的な構図を頭の中に作り上げる。そして生まれるのが、「中国人は……」というステレオタイプだ。
こうした状況を変えようと、芝園団地では、学生のボランティアグループ「芝園かけはしプロジェクト」や自治会が様々なイベントを開くなど、地道な活動を続けている。
まずは知り合いをつくり、「中国人」とひとくくりにするのではなく、顔の見える関係をつくっていければという狙いだ。
「見えない壁」を壊すことは、決して簡単ではない。
芝園団地に住む日本人住民と中国人住民は、言葉や習慣だけでなく、生活スタイルも世代も違うので接点が少ない。芝園団地は分譲ではなく賃貸住宅なので、人の入れ替わりが激しいのも、地域のつながりづくりを難しくさせている。
それでも、一緒に何かをすることによって、これまでの「私たち」に代わる、日本人も中国人も共有する、新しい「私たち」というアイデンティティが芝園団地に芽生えることを期待している。